象とバレエ

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ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師は、

 

「象さえもバレリーナに育てることが出来る」

 

と、言います。

 

もちろん冗談で言っているのですが、

 

真意はどこにあるのでしょうか?

 

ワガノワ・メソッドで学んだダンサーたちの身体能力の高さ故に

 

ワガノワ・メソッドは、「身体的に恵まれた人たちのためのメソッド」

 

と、誤解されることがあります。

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師は、

 

「ワガノワ・メソッド以外のメソッドのほうが難しい」

 

と言います。

 

バレエ的な矯正なしに、バレエを踊れるメソッドは、

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師たちには驚きでしかないようです。

 

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーに入学してくる生徒たちは、

 

全員が全員、完全なまでにバレエ的な身体に恵まれた生徒というわけではありません。

 

むしろ、不完全な部分がある生徒のほうが多いです。

 

不完全な彼らが入学を許可される理由はたった一つです。

 

それは、欠点を矯正できる能力があると判断されるからです。

 

 

冒頭に挙げた象バレリーナ。

 

ワガノワ・メソッドが矯正を前提としたメソッドなので、象さえもバレリーナに出来ると

 

冗談交じりに語っているのです。

 

そう。

 

ワガノワ・メソッドは、「矯正のメソッド」

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの1年生のレッスンは、

 

バレエとは言い難い、一に基礎、二に基礎、三に基礎の、基礎しか行わないレッスンです。

 

バレエの基礎は、

 

「脚を外に開く、身体を引き伸ばす、柔らかなプリエをする」

 

の、3つ。

 

この3つの基礎を徹底的に学びます。

 

それは、バレエというより踊りになる以前の基礎訓練と言ったほうがしっくりくるくらいです。

 

この基礎訓練は、バレエ的な動きができるようになるための身体の矯正に終始します。

 

矯正に1年かけるのです。

 

2年生も基礎訓練にルルヴェが加わるだけの、またまた基礎訓練。

 

3年生になってようやくバレエ的な動きに移行していきます。

 

最初の2年間でバレエを踊るための基礎訓練を行います。

 

この2年間で身体をバレエ的に矯正します。(1年生はア・テールでの矯正、2年生はルルヴェでの矯正)

 

矯正にこのように長い期間をかけるのは、

 

この矯正により、後々のバレエ的な動きの習得が容易になるからです。

 

 

日本で最初の2年間。基礎訓練だけ行ったらどうなるでしょう。

 

おそらく、生徒さんからは、

「これはバレエじゃない。」
「バレエを習いたい(習わせたい)。」

 

教師からは

「何を指導したら良いかわからない。」
「テクニックを指導したい。」

 

と言う声が聞こえてくるのではないでしょうか?

 

それ故、両者が納得する難易度に着目したレッスンが行われるのだと思います。

 

初級、中級、上級。

 

これらのレッスンでは、難易度の差だけに着目したレッスンが行われます。

 

例えば、ピルエット。

 

初級では、1回転。

中級では、2回転。

上級では、3回転。

 

というように。テクニック的な難易度の差によるレッスンが行われます。

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーでは、こうはなりません。

 

1,2年生では、ピルエットの回転は絶対に行いません。

 

回転を始めるのは、3年生からです。

 

 

矯正が大事なのですが、日本ではその矯正の部分が疎かになっている、と感じています。

 

向き不向きだけで判断していないか?

 

そもそも教えている内容に不備はないか?

 

そう言ったことは脇に置いて、

 

バレエ的な動きができないのは、筋肉の使い方に問題があるのでは?

 

と、バレエの外側に答えを求めるようになるのかも知れません。

 

その結果、解剖学などの知識に傾倒していく。

 

解剖学を学べば、実力がアップすると考えてのことでしょう。

 

しかし、ワガノワ・メソッドでは、意識的に解剖学をレッスンに持ち込まないようにしています。

 

なぜなら、上達の妨げになるからです。※

 

何度も言いますが、解剖学にバレエの本質はありません。

 

バレエの本質は、バレエの法則の中にしか存在しません。

 

そしてそのバレエの本質であるバレエの法則を生徒に習得させることがバレエ教師の仕事です。

 

 

矯正を前提にしたメソッドである、ワガノワ・メソッド。

 

象さえもバレリーナにしてしまう(かも知れない)、メソッド。

 

この矯正部分の法則は、バレエ的な身体を有していない日本人ダンサーにも有効です。

 

まず、この法則を知ってから矯正を行うべきです。

 

それで難しい部分が出てきたら、さらにもう一度本質に立ち返り、認識が甘くなかったか再確認する(大抵何かしら見つかるものです)。

 

これを存分に行った上で他に目を向ける。

 

このような順序が、バレエを学ぶ(教える)正しい順序です。

 

動けないから解剖学。

 

ではなく。

 

 

 

参考図書

 

※参考資料
【解剖学をバレエに生かす極意と鍛錬】第1部

 

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