
パ・バロネ
「ワガノワ及びスチュアートのテキストでは、バロネ・サンプルをこのように呼ぶ。且つ5番から始まる場合のみを記述している」
バロネ
「バロネは「ボールのようにふくらんだ」の意。ポアントまたは、ドゥミ・ポアントで行われる場合もあるが、基本概念としては「片足でけり上げながら他の片足で踏み切って跳び、踏み切った足のドゥミ・プリエに下り、けった足をスュル・ク・ドゥ・ピエにするパ」である。」
(『バレエ用語辞典』 川路 明著 東京堂出版 33pより引用)
フランス語表記は Ballonné。風船を膨らませるということです。
バロネの行い方、わかりましたか?
もし文章ではわかりにくいという方は、ジゼル1幕を想像して下さい。
ジゼルがロイス (アルブレヒト) と向き合って手をつないで一緒に脚を投げ出しながら踊るステップがあります。
あれが、パ・バロネです。
ワガノワ・バレエ・アカデミー3年生の「パ・バロネ」は、上記動画で確認できます。
ジゼルでは、もっと高速で脚を動かしています。
パには発展系があります。
パ・バロネの前に行うべきパは何でしょう?
それは、ワガノワ・バレエ・アカデミーの1年生から練習するパです。
答えは「バットマン・フォンデュ」
1年生では、顔の向きや腕の動きを付けずに、脚だけ動かします。
両脚のコーディネーションだけ、です。
2年生になると、コーディネーションが増えます。
腕の動きが付き、軸脚がルルヴェになり、顔の向きも付けます。
1年生よりもコーディネートする数が3つも増えました。
3年生以上になると、フォンデュがどのように発展するかと言うと、パ・バロネになります。
ジャンプが加わり、コーディネーションがより複雑になりました。
1年生:両脚のコーディネーション
2年生:1年生+腕+ルルヴェ+顔のコーディネーション
3年生以上:2年生+ジャンプのコーディネーション
このようにして、パは発展していきます。
ちなみに、パ・バロネの発展系は、バロネ・バッチュ。
バロネ・バッチュの次段階では、回転が加わります。
仮に、パ・バロネが上手にこなせない場合は、
2年生での課題を見直す必要があります。
それでもこなせない場合は、1年生での課題を見直します。
1年生の課題であるバットマン・フォンデュが上手にこなせない場合は、その手前の課題を見直します。
それは、「ドゥミ・プリエ」
ドゥミ・プリエの法則を再度見直す必要があります。
ドゥミ・プリエは基礎中の基礎。
ドゥミ・プリエの完成なしに、次の段階へ進むことは困難です。
パには、必ず発展系があります。
一つのパを切り取って、それがうまくいかないからといって、解決策をバレエ以外の分野に求めてはいけない理由がお分かりいただけるでしょうか?
その前にやるべきことがあるということです。
まず、パの発展系を理解して、問題がどこにあるのか突き止める必要があります。
それをせずに、体の向き不向きや努力不足のせいにしては、いつまで経ってもこのパの発展系を理解できません。
生徒のみなさんは、パの発展系をご存知の先生を探しましょう。
教師のみなさんは、パの発展系を学びましょう。
バレエを習得するのであれば、それが一番初めに行うべきことです。
参考図書