バレエを習っているのに、
優雅な動きができない。
よく聞く悩みの一つです。
バレエ教授法では、優雅な動きはどうやって指導されるのでしょうか?
ワガノワ・バレエ・アカデミー生のバットマン・タンデュを例に
紐解いてみましょう。
1年生から4年生のバットマン・タンデュの動画をご覧ください。
【1年生】
1年生でのバットマン・タンデュは、脚が前後で頭が横を向くことだけ行っています。
上半身を垂直に保ち、脚を正確に出すというコーディネーション(動きの組合せ)です。
【2年生】
2年生のバットマン・タンデュは、
1年生の動き
+ポーズ(エファッセ、エカルテ)
+ポール・ドゥ・ブラ
という構成です。
方向転換と脚を動かしながら腕を動かすというコーディネーションとなっています。
【3年生】
3年生のバットマン・タンデュは、
2年生の動き
+ア・ラ・スゴンドの腕のアン・ドゥオールとアン・ドゥダン
+バットマン・タンデュ・プリエ
+上半身と頭の傾き
+軸脚の替え
という構成です。
脚を動かしながらのポール・ドゥ・ブラが2年生より複雑化、そして高速化しています。
【4年生】
4年生のバットマン・タンデュは、
3年生の動き
+重心移動
+上半身の動きの大きさ
という構成です。
どんどん複雑化、高速化していきます。
1年生から4年生までバットマン・タンデュの動きを見てきました。
学年が上がるに連れて、コーディネーション(動きの組合せ)が複雑化していき、動きが高速化していき、更に大きくなっていきます。
このように動きを発達させていきます。
さらに学年が進むと、アン・トゥールナンの動きも加わり、重心移動も更に多くなり、軸脚が目まぐるしく変わっていきます。
この複雑化のプロセスが上達を可能にします。
コーディネーションの複雑化こそがバレエの習得だと言えます。
バレエでは、アン・ドゥオールされた脚、柔軟性が必要だと言われています。
そして、それは正しいです。
ですが、それはバレエのごく一部に過ぎません。
日常生活を送る上での空気や水のようなものです。
「バレエらしさ」を形成する上でもっとも大事な要素は、「コーディネーション能力」です。
この能力なしに、上半身の優雅さは生まれません。
解剖学の知識とは別の次元です。
コーディネーションのない動きは、バレエではありません。
わたしがよく指導中に口にする言葉、
「腕を優雅に使えないのなら、ロボットと同じです。人間が踊るなら、腕を使いましょう。」
解剖学を意識したバレエは、物質的で機械のような動きになります。
バレエ教授法が解剖学を排除する所以がここにあります。
解剖学的な正しさ、芸術的な優雅さ。
どちらを目指しますか?
参考
コーディネーション能力を高めるために私が取り入れている方法はこちら。