今まで私は数多くのバレエ教師のレッスンを受けてきました。
私が教師になる前も、なった後も、です。
「この先生はバレエを良くご存知だな」
「この先生の教え方は絶妙だな」
と、素晴らしい教師にめぐり合うこともあれば
「この先生、バレエをまったく分かっていないな」
「この教え方じゃ生徒さんがかわいそう」
と、思う教師まで様々です。
ここで、知っていただきたいのは、
「バレエ教師がバレエのスペシャリストでは無い場合もある」
ということです。
実際、複数の教師に習っている生徒さんに伺うところによると、
「では、私の真似してね、で、説明が一切無いんです」
と、このような教え方をする教師もいるのです。
この場合、真似が上手な生徒さんは上達しますが、
そうでない生徒さん、
例えば、
説明をしっかり聞きたい生徒さんは、
物足りない感じのレッスンになりますね。
教師にも教えのタイプがあるし、生徒さんにも学びのタイプがあります。
お互い様なんだから、
教師は自分のタイプを貫くだけでいい、でしょうか?
そんなはずはありません。
生徒さんは、受講料を払ってレッスンを受けてくださっています。
教師と相性が良ければ、
教師が何も気にせず自分なりのやり方で教えていてもスイスイと上達するかもしれません。
でも上記のように、タイプにズレがあったらどうでしょう?
生徒さんが我慢すれば済むのでしょうか?
もしそうだとすると、
受講料は何に対して払われているのか分からなくなりますね。
教師は受講料を受け取っている時点で、
タイプの異なる生徒さんであっても、知識や技術など十分な学びを受け取って頂くようにしなくてはなりません。
少なくともそのための努力はすべきです。
単に自分のタイプを貫き通してオシマイにしているとしたら、
ギブ&テイクになっていませんね。
テイク&何か?
みたいな、感じです。
お月謝が安いから、
単に通いやすいから、
友だちの紹介で、など。
様々な理由で始めたとしても、
ギブ&テイクになっていないままバレエを習うのは
時間とお金と労力の無駄です。
時間とは人生のことです。
教師は、生徒さんの人生を無駄にするような指導をしてはいけません。
生徒さんがバレエの上達を望むなら、ぜひ良い教師の下で習っていただきたい。
良い教師とは、
・説明が上手で、ひとつのステップに対し、説明の仕方をいくつも持っている教師
・論理的に説明できて、大人の生徒さんが存分に納得できる指導ができる教師
・お手本が素晴らしく、見ているだけで生徒さんの動きが変わって行くような教師
・生徒さんの動きが一言で変わってしまうようなイメージ豊かな言葉がけが出来る教師
・ボディタッチが上手で、要所要所でスッとタッチしてくれることで、生徒さんの動きが変わってくる教師
など。
良い教師にもいくつものパターンがあります。
でも、共通しているのは、その指導を受けることで確実に生徒さんが上達していくこと。
出来なかったステップが出来るようになっていくこと。
そういった、結果が出せることが必須です。
一年前と三年前と五年前で生徒さんの実力があまり変わっていないとしたら、それは教師に問題ありですね。
上達を求める全ての生徒さんが、良い教師にめぐり合うことを祈ります。
参考図書