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全てを伝える指導と、上達させる指導は違う

ロシア・メソッドの教授法では、

「これは教師が知っておくだけでよい。
 生徒には伝えない。」

という考え方で指導することがあります。

例えば、ワガノワ・バレエ・アカデミー7年生で学ぶ

「パ・ドゥ・シゾー」


※動画では、スローモーションの動きが正しい動きです。

シゾーはフランス語でハサミという意味です。

このステップでは、

「後から床を蹴る脚は、最初に上げた脚よりも高くする」

というのが正しい動きです。

ですが、この「最初に上げた脚よりも高くする」は、

生徒に伝えません。

教師だけが知っていれば良いことです。

「?」

「知っていることを伝えないの?」

はい、伝えないんです。

なぜか?

それは、

伝えると、狙った結果が得られないから。

どういうことかと言いますと、

この指示を出すと、投げ出した脚が空中で止まってしまうからです。

パ・ドゥ・シゾーは、

・両脚を交互に蹴り上げるジャンプ
・後から上げた脚を下ろしながら1番を通る
・1番からのアラベスクへのポーズ

上記3つの動きが途切れることなく、流れるように行うステップです。

後から投げ出した脚が空中で止まると、流れるようなステップになりません。

このような理由から、「後から来る脚を高く上げる」と伝えないのです。

「じゃ、どう指導するの?」

という声が聞こえてきそうです。

「後から来る脚が最初の脚を追い越すように上げる」

とか、

「後から来る脚の勢いを強くする」

と伝えます。

これで狙った高さに上がるようになります。

教師は、

「知っていることを全て伝えたい」

というサービス精神旺盛な部分があります。

ですが、そもそも

教える

とは、一体どういう行為でしょう?

バレエに例えると、生徒が上達するように導くこと、ですね。

教師が持っている知識を駆使し、生徒が出来なかったことを出来るようにさせる。

これが 教える ということです。

目的は、生徒の「上達」です。

その目的を達成させればいいのですが、

教師が持っている知識を全て伝えると、生徒が混乱することがあります。

だから、あえて教えない。

教師が知っておけば良い知識と、生徒が知るべき知識は決して同じではないという部分です。

狙った結果に導くように何をどう伝えるか、ということが大事です。

何をどう教えればよいか…、考えてしまうようなお話でした。

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