何歳で留学すればよいでしょう?
こんな質問をされることがあります。
海外の国立バレエ学校の生徒は、10歳前後に1年生として入学します。
そして、18歳前後でバレエ団入団となります。
入学年齢に達していれば、
早ければ早いことに越したことはありませんが、
日本人が10歳で留学するというのは、
あまり現実的ではありません。
加治屋百合子さんのように10歳で入学という例もありますが、
それは、特殊なケースと言えるのではないでしょうか。
(文末資料参照)
また、
何年間留学したいかに依っても変わってきます。
当スタジオの留学経験がある先生は、
最低でも2年は留学していたほうが良い、
と、アドバイスします。
1年では、慣れただけで、実力向上には至らないとのこと。
2年は必要。
できれば3年。
私の意見も3年です。
上級のレッスンを3年間学べれば良いと思います。
海外のバレエ学校の上級は、高校生を対象にしているので、
中学を卒業したら、高校は行かずに(もしくは通信教育で)
留学することをお勧めします。
3年間通うとなると、
8年制のワガノワ・バレエ・アカデミーやボリショイ・バレエ・アカデミーでは、
最初、6年生に在籍することになります。
6年生は、デュエットのクラスが始まる年です。
このクラスだけは、最初から受けないといけません。
7年生から入ると、デュエットの基礎がないまま、
男性と踊ることになります。
これは避けたい。
そういう意味では、
デュエットクラスの基礎をしっかりと受けられるかどうか
ということが、
留学する年齢を決める一つの指標になると言えます。
ボリショイ・バレエ・アカデミー6年生のデュエットクラスの
試験の映像はこちら↓
自分が行きたい留学先で、デュエットクラスが何年間あるのかを調べ、
そこから逆算して自分が行かなくてはならない年齢を計算してみてください。
日本ではコンクールに入賞して、
1年間のバレエ学校のスカラシップをもらえることがありますが、
1年で帰ってしまっては、学ぶことが少なすぎます。
バレエの最終段階は、男性と組んで踊ることです。
それが出来ないダンサーは、ダンサーとしての価値が低くなります。
入団のチャンスも減ってしまうことでしょう。
コンクールで入賞することよりも、もっと大事なことがあるはずです。
日本では、デュエットが踊れることの重要性が、あまり知られていないようです。
若いバレリーナは、どんなことがあっても
男性と踊ることをしなくてはなりません。
ヴァリエーションばかり踊って、
大事なデュエットに目を向けないようなレッスンの受け方は、本末転倒です。
留学を考えている若いダンサーは、自分がめざす最終地点がどこなのか、
明確にする必要があります。
そこが明確で無いと、学びが曖昧になります。
それでいて、努力を重ねてしまうと、労多くして得るものがない日々を送ることになります。
貴重な10代の人生を無駄にすることがないよう、そういうことが分かっている教師の下で学んでください。
現在の最終目標がヴァリエーションのコンクール入賞なら、
立ち止まって考える必要があります。
留学先で、下のクラスに入れられ、基礎からやり直しを言い渡されるかもしれません。
それでは、夢が遠のきます。
自分の将来は自分で守りましょう。
参考資料
加治屋百合子さんの留学についてのストーリーはこちらからダウンロードして頂けます。