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何を考えながらバレエを踊るか?

ロシア・メソッドでは、

バレエ教師の役割を下記の通りに定義しています。

「生徒が何も考えなくてもあらゆるステップを踊れるように叩き込む」


みなさんは自宅を出る時、カギをかけますよね?

別に意識しなくても習慣のように身体が動きます。

だからといって無意識ではなく、脳が自動的に身体に行動を促しているような状況です。

バレエを、何も考えずに踊るというのは、このカギをかけるという行為に似ています。

無意識ではないけど、身体が自動的に反応している感じです。

おびただしい数のバレエのステップを

何も考えなくても踊れるようにする。

大変です。本当に。学ぶ方も教える方も。

常に意識させるように刺激を与え、何度も何度も修正を重ね、

身体が自動的に反応して正しい動きをするように仕向ける。

だから、8年かかるんです。

ロシアの国立のバレエ学校は8年制です。

その中でも毎年のように退学者が出て、

最後まで残れるのは、精鋭中の精鋭です。

よほど頭が良くて、感性が鋭くないと残れません。

「あらゆるステップ」

というのは、どのようなものでしょうか?

ステップの数というよりも、様々な組み合わせのパターンと考えたほうがしっくりくるでしょうか?

バレエのステップは、そのステップ単独で踊られることはありません。

必ず複数のステップの組み合わせによって成り立っています。

組み合わせ、アンシェヌマンのことですね。

教師に求められていることは、

ありとあらゆるパターンのアンシェヌマンを組み、その精度を上げていく

に、尽きると思います。

ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業したバレリーナは、

舞台では身体が勝手に踊っているということになります。

ステップについて、 

「次のステップはこうで、このステップのときはここを気をつける…」

とは、考えていないということになります。

では、踊っている最中は何を考えているのでしょうか?

演技について考えているのでしょうか?
それともスタミナ配分のことでしょうか?

バレリーナに聞いてみないと分かりませんが、

ステップの順番や精度については考えていないのは確かです。

もしステップについて考えているとしたら、正しいバレエ教育を受けて来なかったということになるのですから…。

プロの世界はこのように出来ています。

いつも決まったアンシェヌマンしかレッスンしていなかったら、このようなレベルのダンサーは誕生しません。

だから、教師にとってアンシェヌマンを多種多彩に組み合わせられる能力は大変重要なのものです。

それこそが教師に求められるスキルだと言えるのではないでしょうか?

バレエの法則をしっかり学んでいれば、(生徒の身体条件がバレエ向きなら)ステップの精度を上げることはさほど難しくないと思います。

法則は、生徒を上達させるために何を指導すればよいかということが言語化されたものです。

あとは、教師のアンシェヌマンを組む能力にかかっているということになります。

教師にとっては、大変な難題ですが、教師としての存在価値はここにあると言えます。

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