世界一正確なバレエのお手本でも生徒にマネをさせてはいけない理由

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バレエ教師が行うデモンストレーション。

 

それがバレエレッスンの普通の情景。

 

でも、それはダメだ! というところがあるのです。

 

どこかというと、何と

 

ワガノワ・バレエ・アカデミー。

 

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師たちがとても大事にしていることがあります。

 

 

それは、

 

「生徒に教師のマネをさせない」

 

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師たちのほとんどはワガノワ・バレエ・アカデミーの卒業生です。

 

そしてバレエ団で活躍した元プロダンサー。

 

引退してから教授法をフルタイムで数年間学び、ふたたび教師としてワガノワ・バレエ・アカデミーの教室に戻ってきます。

 

その教師たちのデモンストレーションなら、教授法に則った世界一正確なものであることは疑いようがありません。

 

それなのに、デモンストレーションをしないようにしている。

 

これは驚くべきことではないでしょうか?

 

なぜ、デモンストレーションをしてはいけないのか。

 

なぜ、生徒たちが教師のマネをしてはいけないのか。

 

 

実はこの考えは他でも指摘されています。

 

ワガノワ・メソッドと言えば古典的なバレエの指導法ですが、最新科学に基づく学術研究を行っている国際ダンス医科学学会(IADMS)です。

 

IADMSが2009年に発行した教師向けの会報の中で、「概念の形成を欠く、生徒たちに教師のマネをさせるような指導は止めねばならぬ」と警鐘を鳴らしています。※1

 

つまり、伝統のワガノワメソッドにおいても、最新のIADMSにおいても

 

「生徒たちが教師のマネをしてはいけない」

 

という点では共通しているのです。

 

 

ワガノワ・メソッドの教授法での教師の役目は、

 

  1. 教師の説明のみで生徒が動けるように仕向けること
  2. 生徒が正しく動けているかをチェックすること

 

生徒が言葉のみで理解し、実践できるようにするのが教師の役目なのです。

 

 

デモンストレーションで動くというのは、視覚からの情報で動くということです。

 

これだと、思考を伴わなくても動けてしまう。

 

思考を伴うということは、意識化して動くということ。

 

まず意識的にコントロールできるようになり、それを反復することで無意識的に出来るようになる。

 

このプロセスを経て習得させるためです。

 

なので、視覚情報を当てにしてはいけないのです。

 

まず言葉で理解し、バレエ動作の概念を持つ。

 

次に、その正しい概念を自分の体を通して動きとして再現させるということです。

 

意識的に再現させられる動きは、応用が可能になります。

 

ステップの発展系は、この応用により得られるものです。

 

ところが、視覚情報での動きは、概念を持たなくても出来てしまうので応用性が乏しい。

 

結果、ステップの発展系を習得できなくなる。

 

ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師たちは、それが分かっているのです。

 

概念。

 

これこそがバレエを学ぶ上で一番大事な要素です。

 

バレエ動作の概念を持つように指導し、指導されること。

 

これこそがバレエの本質です。

 

 

以前インタビューしたワガノワ・バレエ・アカデミー出身のロシア人ダンサー ニコライ・コリパエフさんは、※2

 

バレエダンサーにとっていちばん大事な資質は?という問いに

 

「頭の良さ」

 

と、答えています。※3

 

 

頭でバレエを理解する能力。

 

 

これが一番大事。

 

 

言葉で理解させるのがバレエ教師の仕事なので、

 

「100歳まで指導できる」

 

と、ワガノワ・バレエ・アカデミーの教師たちは豪語します。

 

椅子に座って、指導すればいいのだそうです。

 

面白いですね。

 

 

ここから言えることは、

 

バレエの生徒さんは、お手本を見せようとする教師を求めないほうが良い、ということ。

 

バレエ教師の方は、少しでも良いお手本を見せようと心がけるのはやめたほうが良い、ということ。

 

これもまた面白いですね。

 

 

参考資料

※1 “Teaching to the Whole Dancer Synthesizing Pedagogy, Anatomy, and Psychology” Kathryn Daniels, et al., Bulletin for Teachers 1-1, IADMS, 2009.

※2 ニコライ・コリパエフ(NIKOLAY KORYPAEV)

※3 ニコライ・コリパエフの『マイバレエストーリー』

 

 

 

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