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腕が上体の後ろは「No!」〜ワガノワ・バレエ・アカデミー校長の公開レッスンを見て

新国立劇場で開催される バレエ・アステラス 2017 (7月22日)にワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミーの生徒が出演します。

 

公演に先立って、ニコライ・ツィスカリーゼ校長による

 

公開レッスンが、新国立劇場で開催されました(7月19日)。

 

ツィスカリーゼ校長のレッスンは、

 

さすが! 

 

と思わせる素晴らしいレッスンでした。

 

レッスンの様子を一部報告します。

 

 公開レッスンに参加していたのは、

 

  • ワガノワ・バレエ・アカデミーの生徒
  • 新国立劇場研修所の生徒
  • 新国立劇場バレエ団ダンサー

 

ツィスカリーゼ校長が日本の参加者に再三注意していたのは、

 

  1. 腕は上体の前
  2. 肩甲骨を保つ
  3. プリエで床を押す
  4. 脚の付け根を軽やかに使う

 

でした。

 

1つ1つ見ていきます。

 

 

1. 腕は上体の前

 

ツィスカリーゼ校長が、特に「No!」と叫んでいたのは、第3ポール・ドゥ・ブラです。

 

 

ワガノワ・バレエ・アカデミー1年生の第3ポール・ドゥ・ブラの動画です。

 

腕は、上体の前に置かれていますね。

 

上体の後ろに腕が抜けることがありません。

 

5年生になるとこうなります。

 

 

こちらも腕は、上体の前に置かれています。

 

1年生と5年生の第3ポール・ドゥ・ブラ、随分と難易度が違います。

 

このように発展していくので、腕を上体の後ろにすると、いろいろと不都合が出てくるわけです。

 

腕と脚の動きは同時に行うか、ステップによっては腕が若干早めに動き始める

 

というのは、バレエにおいては鉄則です。

 

「腕が後からついてくる」

 

という法則は存在しません。

 

腕を上体よりも遅く使うと、今後脚が上手に使えなくなるからです。

 

腕で脚の動きを助けることが出来ないからです。

 

また、上体の維持も腕が助けていますので、腕が上体より後ろに行くと、上体の捌きがとても悪くなります。

 

ですから、腕を上体の後ろに残して使うなんてことは、ロシア・メソッドでは考えられないことなのです。

 

ツィスカリーゼ校長が

 

「No!」

 

と声を張り上げるのも頷けます。

 

ちなみに、ツィスカリーゼ校長が「No!」と叫んでいた動かし方はこちら

         ↓↓↓

 

 

これは、メソッドの違いによるものです。

 

何を目的に動かすか、という部分で異なってきます。

 

ロシア・メソッドでも、白鳥の羽ばたきを表現するときは、腕が上体の後ろに行きます。

 

 

2. 肩甲骨を保つ

 

ツィスカリーゼ校長は、肩甲骨を強く保たないと、上体がフラフラして回転技がうまく出来ないと指導していました。

 

 

3. プリエで床を押す

 

プリエが上手に出来ないと、足を痛める。

 

軽やかなジャンプのためには、プリエで床を押すことをしっかりとマスターしないといけない、と。

 

 

4. 脚の付け根を軽やかに使う

 

脚の付け根を固めて踊ると、グラン・ジュテなどで脚を投げ出すことができなくなる。

 

結果、高い跳躍が出来なくなり軽い跳躍にならない、と。

 

 

どれもロシア・メソッドの教授法に則った指導でした。

 

ロシア・メソッドの教授法では、どの教師も同じような表現で生徒を指導します。

 

ですので、ツィスカリーゼ校長の指導は、とても馴染みのあるものばかりでした。

 

「あ、この表現の仕方は少し変わっていて面白いな」

 

と、思えるものがいくつかあったので、これは大きな収穫です。

 

教授法に則りながらも、ツィスカリーゼ校長の経験がそう言わせるという部分の表現が興味深かったです。

 

 

レッスン後の質疑応答

 

「ボリショイ・メソッドとワガノワ・メソッドの差に戸惑いはなかったですか?」

 

という質問への答えは、

 

「ボリショイ劇場とマリインスキー劇場の舞台のサイズに差がある。その差がメソッドの差になる」

 

と、踊りだけ見ていては気づかない視点から解説して頂きました。

 

この解説もとても勉強になりました。

 

 

最後に、感想を述べます。

 

いやぁ〜、

 

 ワガノワの生徒、

 

 上手だわぁ〜

 

ゆっくりな動きも速い動きも全てにおいて、テンポにピタッとはまっていて、尚且つ法則通りに動かしているのです。

 

すごいです。

 

 

 

 

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