ロシアバレエには、
脚を後ろに振り上げるパ・ドゥ・シャ
があります。
パ・ドゥ・シャと言うと、横をイメージしそうですが、後ろ、です。
後ろ脚はアチチュード。
一見簡単そうですが、
ところがどっこいの世界が待っています。
まずはワガノワ・バレエ・アカデミー3年生のパ・ドゥ・シャをご覧いただきます。
上手方向に2回行っています。
きれいなアチチュードです。
このアンシェヌマンでは、
・クロワゼでのアチチュード
・エファッセでのアチチュード
2つのアチチュードが出てきますね。
この2つには体の向き(クロワゼ、エファッセ)とは別に、行い方の違いがあるのはご存知でしょうか?
バレエの法則での「パ・ドゥ・シャのアチチュード」には、明らかな違いがあります。
それは、
クロワゼでのアチチュードは、膝の内角を小さく
エファッセでのアチチュードは、膝の内角を大きく
です。
アチチュード・クロワゼでは、膝がきっちり曲げられていなければならないのに対し、アチチュード・エファッセでは、それよりも少し伸ばし気味になる。そうでなければ、ポーズは正しくないものになる。
『ワガノワのバレエ・レッスン』アグリッピナ・ワガノワ著新書館発行97pより引用
この2つのアチチュードの差をしっかりと見せるように動かさなければなりません。
ワガノワ・バレエ・アカデミー3年生のアチチュードは、動画ではまだはっきりとした差が見られません。
本来ならもっとはっきりと差が分かるように膝の角度を変えなくてはならないのですが、
3年生では、膝の内角の差を正確に表現するのがまだ難しいようです。
今後学年が上がればもっと上手にできるようになります。
最近はYouTubeやDVDを見て振り移しをすることが簡単にできますね。それは、便利なようで怖いことでもあります。
なぜなら、この法則を知らずに動画を見ても、この違いを見分けることはできないと思われるからです。
似たような動きは真似できるようになるかも知れません。
でも、目指している完成形が違います。
法則を知っていれば、
「画面上では分からないけど、実際はこう動いているはず。」
もしくは
「本来はこう動くはず。」
と言うことが分かります。
同じ踊りを見ても、法則を知って見るのと、知らないで見るのとでは
得られる情報が違う。
結果、見える世界が違うのです。
大人の生徒さんにこのアチチュードの違いを教えると
「差を付けられません。一体どうやったらできるのかしら?」
という反応が返ってきます。
これはコーディネーション能力が備わっていないとなかなか難しいですね。
知識や筋トレとは別な要素です。
ところで、
そもそもなぜアチチュードはクロワゼとエファッセで膝の角度が違うのでしょう?
疑問に思いませんか?
それは、
お客さんにどのようなポーズを見せたいか
ということで決まってきます。
クロワゼで膝を伸ばし気味に、エファッセで膝を曲がり気味にポーズを取ってみてください。
ポーズの印象が全然違います。
教授法通りの動かし方のほうが美しく見えます。
美しさ
これが基準です。
決してダンサーにとっての動かしやすさが基準ではありません。
王様に美しさを見せるのがバレエです。
ここは絶対に押さえておかなくてはならない価値観ですね。
参考図書
PS
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