美しく踊るために欠かせない要素はたくさんあります。
キープ力・腕の動き・敏捷性…、など。
上記を全て兼ね備えたダンサーを見ていても、あるひとつの要素が欠けていたら、
そのダンサーを、お客さんは美しいと感じるでしょうか?
あるひとつの要素
それは、
「音楽性」
です。
大人からバレエを始めた方は、
「ステップを覚えるのに必死で、音楽に合わせて踊るなんてとても無理!」
と、おっしゃるかもしれませんね。
ですが、ステップを覚えることよりも
音楽性の方が大事です。
バレエでは脚の動きでリズムを、腕の動きでメロディーを表現します。
大人の方のバレエを見ていると、全身で脚の動きを表現しているようです。
腕と脚の動きが別々にならないのです。
この動きを切り離さないと、音楽性は生まれません。
脚はリズムを刻むように、腕はメロディーを奏でるように滑らかに動かさないといけません。
こういった手足をバラバラに動かすには、コーディネーション能力が不可欠です。
また、音楽性を養うには、バレエに特化した音楽のトレーニングが必要です。
よくバレエのためにとピアノを習う生徒がいますが、
残念ながらピアノの練習はバレエに特化している訳ではないので不十分です。
バレエ教育の中では、これを 「ミュージカリティ」 と呼ぶクラスの中で教えることが多いです。
ちなみに、ボリショイバレエ学校では、「リトミック」 を取り入れてレッスンもしています。
音楽のための教育ではないし、リズムトレーニングでもありません。
バレエを音楽性豊かに踊れるようにするための感性と感覚と技術のすべてを同時に鍛えるクラスです。
バレエのレッスンでは、生徒にミュージカリティが備わっていることが前提になります。
その前提を満たした上で、ステップの習得に集中する場がレッスンです。
逆に言うと、バレエのレッスンをしているうちにミュージカリティが身につくということはありません。
ミュージカリティを身につけた上でバレエの技術を習得するのです。
参考図書