アスリートの世界でのパワハラが注目されています。
バレエ界ではどうでしょう?
バレエ教室でもパワハラってあるでしょうか?
私は、パワハラの現場を目撃したことがありません。
生徒さんから、
「前のお教室ではこうでした」
と、教師からパワハラを受けたという報告を受けるぐらいです。
パワハラに近いものもあれば、洗脳や呪縛に近いものなど様々です。
実際に見たわけではないですが、なぜパワハラなど行き過ぎた指導になるのかは想像できます。
私が思うにそれはたった1つの原因に行き着きます。
システム
そう、システムがないからなんです。
私が師事しているロシア・メソッド教授法の先生は、よくこうおっしゃいます。
「ロシア・メソッドはバレエ教育のシステムが完成されている。バレエはシステムで教えるんだ」
そう、これ。
システム。
バレエ教授法はバレエを上達させるためのシステムです。
バレエ教師はそのシステムを理解し、生徒に指導します。
この流れがあれば、暴力や暴言で生徒を追い詰めることはありません。
もちろん、生徒に上達が見込めなければ国立バレエ学校では退学です。
このような制度もシステムの一部です。
システムは環境を作ります。
生徒が切磋琢磨できる環境にいれば、パワハラの出番はなくなります。
生徒が努力しなくては退学させられるというシステムが機能します。
教師が教授法を知らなければ教える機会が得られないというシステムが機能します。
「この生徒を伸ばしたい!」
という思いはどの教師にもあると思いますが、
システムが機能していなければ、
生徒と教師が一定の距離を保つことが難しくなります。
私は、この距離感はシステムによってもたらされされると思っています。
ロシアバレエ教授法を学ぶようになって、精神論を語ることがどれだけ無意味かということを痛感させられることが多くあります。
教授法は、上達のためのシステムです。
決して精神論ではありません。
教授法の中に、
「この動きをするときはこの精神で」
とは書いてないのです。
バレエ界で、もしパワハラが存在するとしたら
それは教師が生徒さんを上達させられるシステムを持っていない、
つまり、バレエ教授法を知らないから、としか考えられません。
生徒さんには、バレエ教授法を知っている教師のもとで学んでいただきたい。
決して精神論でなく…。
そうすれば、子どもが教師の暴言のせいでバレエを嫌いになることもないだろうし、
大人リーナが教師の呪縛が恐ろしくて、教室をやめられないということも起きないだろうし。
もし、システムが機能すれば、バレエに関わる全ての人が気持ちよくレッスンできるようになると思うのです。
夢物語とならないよう、バレエ界の未来のために、できることは全てやるつもりです。