「両肩は緊張させないように開いて下げます。」
(『クラシック・バレエの基礎』 N・バザーロワ/V・メイ 著 かるさびな出版 1992年 9p より引用)
一体どのくらい開いて下げるのでしょう?
明確な形が示されていないので、指導しにくいですね。
ワガノワメソッドの教授法に答えがありました。
それは、
「肩の下の部分で180度真っすぐのラインを作るように、両方の肩甲骨を中央に寄せ、そして思いっきり下げる」
です。
写真の
① は、普通の肩甲骨の状態
② は、肩を後ろに引っ張り、180度真っすぐのラインを作った状態(肩甲骨がを中央に寄っています)
③ は、②の肩甲骨を下げた状態
②と③では、脇のレオタードがたるんでいます。
モデルの子は、このぐらい肩甲骨を寄せます。
肩甲骨を中央に寄せると、腰が反りやすくなり、骨盤が後ろに引けます。
この状態では、ターンアウトが出来ないので、ターンアウトのための骨盤の位置を保つ必要があります。
腰が真っすぐになるように、骨盤を前に押し、脚の付け根を真っすぐに保ちます。
骨盤と肩甲骨が決まると、ターンアウトが容易になります。
モデルのこのように、肩甲骨を中央に寄せて下げるのは、相当な緊張を強います。
冒頭の「緊張させない〜」と矛盾していると思うことでしょう。
肩甲骨の付き位置によっては、緊張させて行う生徒もいますし、緊張させないで行える生徒もいるでしょう。
緊張させないで行える生徒は、バレリーナ向きの体形と言えるかと思います。
緊張させるか、させないかというところを注目しがちですが、
大事なのは、どのようなラインを作るか、ということです。
そのラインのために苦労するかしないか、ではありません。
上半身をこのように保つのはとても大変なことかもしれません。
ですが、これなくして引き上げはできませんので、ぜひ忍耐強く保ち続けてください。
引き上げの仕方については、また後日…。
参考写真:IANA SALENKO (Principal Dancer of Staatsballett Berlin)
参考動画
肩甲骨【バレエの法則】Vol.050