バレエの用語には、「動き」を表すものと「ポジション」を表すものがあります。
指導の現場で、この二つが混同していることがあります。
例えば、パッセとルティレ。
よく見かける誤用はルティレ(ポジション)を説明するときにパッセ(動き)と言ってしまうことです。
パッセは通過するという意味の「動き」を表す用語です。
ルティレは動脚を曲げてそのつま先を軸脚に付ける「ポジション」のことです。
ですので、この誤用を含んだ説明は、実は聞いていておかしな事になるのです。
もう一つありがちな例は、クペとク=ドゥ=ピエ。
クペは「動き」、ク=ドゥ=ピエは「ポジション」です。
クペは切るという意味で、切るように使う脚の「動き」を表します。
ク=ドゥ=ピエはシュル・ル・ク=ドゥ=ピエの中で使い、軸脚の足首の上に動脚つま先が触れている「ポジション」を指します。
これを踏まえた正しい表現方法としては、
「パッセで前後のルティレに入れる」
意味は、前後のルティレ・ポジションをパッセ(通過)する
とか
「クペでシュル・ル・ク=ドゥ=ピエに置く」
意味は、シュル・ル・ク=ドゥ=ピエというポジションにクペ(切るように)で入れる
などとなります。
「動き」と「ポジション」の両方を理解すれば動きに変化が現れるはずです。
そして、それが上達につながります。
バレエの用語を覚えるのは大変ですが、
その用語の意味の理解度によって、上達が左右されるとなれば、
やはり理解したほうが良いと思います。