バレエの教科書では、足は5番に入れるのが基本となっています。
教科書にしっかりとそう書かれています。
さて、足を5番ポジションに入れるメリットは何でしょうか?
バレエでは片足で立つ動きがほとんどです。
両足5番から片足に立つとき、側方への重心移動はありませんね。
(まっすぐはまっすぐではない?参照)
したがって、両足から片足に変わっても重心移動に余分な力を必要としません。
そのため、上体のキープを比較的たやすく行うことが出来ます。
足を5番に入れるメリットは、
「重心移動がない」
ということです。
さて、5番ポジションでは3つの要素がバランス良く整っていることが大切です。
1. 骨盤の幅
2. 脚の長さ
3. 足の大きさ
1の骨盤幅が狭く、2の脚が長く、3の足が小さい方が、両脚が描くX(エックス)のラインが細くなります。
これが理想です。
ところが、
1の骨盤幅が広く、2の脚が短く、3の足が大きいと、両脚が描くXのラインはかなり広くなります。
上からつぶされたように。
両脚が描くXのラインが理想よりも広い場合、5番に入れることは困難になってきます。
広ければ広いほどその傾向は強くなります。
上記3つの要素のいずれかが欠けた場合、教科書通りの5番に無理なく立つことはできないということになります。
つまり、5番ではないポジションに収める必要が出てきます。
そうしないと脚に無理がかかって、踊りにくくなったり、怪我の危険性が増加します。
この問題を解決するためにお勧めするポジションは、チェケッティの5番です。
チェケッティの5番は、母趾(足の親指)の付け根のところに反対足のかかとが来るポジションです。
5番よりもゆるいポジションです。
それでもきついなら3番ポジションにする必要があります。
チェケッティの5番も3番も、両足から片足軸になる場合、側方への重心移動というデメリットが生じます。
それを踏まえてポジションを選ぶ必要が出てきます。
膝の交差角に注目してみましょう。
膝の交差角(あるいは股関節の屈曲角)が5番の本質です。
それを習得することが上達への道になります。
つま先の重ね具合は交差によって決まる結果に過ぎません。
結果に基準を置かないようにすることが必要です。
また、ターンアウトがきちんと出来ていないと、横から見たときに両足の幅が広くなるため、
片足軸になるときに前後方向への重心移動が必要となります。
これもまたデメリットです。
上記3つの要素+ターンアウトがしっかり出来ていることが前後方向&側方への重心移動が生まれない理想的なポジションとなります。
特に大人からバレエを始めた生徒さんには5番に入れることはお勧めできません。
上記理由を踏まえて、自分のポジションと重心移動のデメリットを理解してほしいと思います。
そのあたりを見極めずに、教科書通りに5番に入れることは大変危険です。
体格とポジション、これらを考慮して自分のポジションを探してください。
参考教材
クラシック・バレエの基礎 ワガノワ・バレエ学校プログラム
N.バザーロワ (著),V.メイ (著),内藤 瑠美 (訳),高塚 昌彦 (訳)
クラシック・バレエの基礎 ワガノワ・バレエ学校プログラム
N・バザーロワ 他/内藤瑠美 他訳 、かるさびな出版 、1992