
脚を2番に上げるときの考え方として、
ここ最近の投稿では、対称と非対称の考え方をご紹介してきました。
ここからは、対称を取るか非対称を取るかで上体にこんなにも差が生まれる。
という、私の仮説にお付き合いください。
ロシア国立バレエ学校のオーディションではターンアウトの可動域が180°以上の子どもたちを選抜します。
そして初級の3年間で上体の強さを獲得していきます。
ロシア・メソッド以外のメソッドでは、可動域は年齢とともに徐々に広げていく※1という考え方なので(多分…)、
脚を上げていくア・ラ・スゴンドは2番の方向(真横)ではなく、つま先と膝の方向に出していきます。
脚をつま先と膝の方向に出すと、上体の強さをさほど必要としません。
真横に上げるよりも遥かに楽です。
その結果、晴れて脚が180°に開いたときには、十分な上半身の強さを得られることなく、
カンパニーに入団します。
ターンアウトができるようになっても、それを支える上体の強さを得られていないので、バランスの悪い使い方をすることになります。
その結果、どこかしらに痛みが出たり、怪我をしたりします。
どうにかして上体を強くしようとさまざまなトレーニングを試みます。
最近では、そのトレーニングがウェイトトレーニングに移行しているように感じるのは私だけでしょうか?
ウェイトトレーニングにより、上腕と僧帽筋が肥大した力強い上体を得られるようになりました。
逞しい身体をゲット!
これでめでたしめでたし!
本当にそうでしょうか?
上腕と僧帽筋が発達したオデットに恋しますか?
筋肉マッチョなジュリエットに恋しますか?
私が男性なら、恋はしない(泣)
ロシアではどうでしょうか?
ア・ラ・スゴンドに上げた脚をコントロールする上体づくりは10歳前後から始まります。
そしてそれは18歳前後までの8年間ずっと続きます。
ア・ラ・スゴンドの脚と上体はセットなんです。
どちらかが先で、次はこれで、なんて考え方はしません。
いつもセット。
ロシア人ダンサーの上体の強さの秘密は、
10歳の頃からア・ラ・スゴンドで脚を真横に上げることにあります。
そして2年生からア・ラ・スゴンドは肩の後ろに移行していきます。
解剖学的にありえない?
いえいえ、この肩よりも後ろに上げていくことこそが上体を強くする理由でもあるのです。
バレエの動きの美しさを決めるポイントが肩よりも後ろに脚を上げることにあるのですから。
この肩よりも後ろにア・ラ・スゴンドを上げる能力を鍛えるために、
オーディションで180°以上の可動域の子どもたちを選抜するのです。
明確な目的があるのです。
さて、ロシアの上体の作り方と西側の作り方、
どちらが美しいでしょうか?
私はロシアだと断言します。
上腕と僧帽筋の発達したダンサーは見たくありません。
そして、上体を鍛えなくても済む脚の出し方で指導するメソッドに不安を感じます。
ここまでは西側メソッドに関する仮説です。
あくまでも仮説なので事実は別なところにあるのかも知れません。
ただ、左右非対称のア・ラ・スゴンド※2がこの仮説に対する一つの答えになりうると確信しています。
大人リーナのみなさんは、日々のレッスンで「つま先と膝の方向に脚を出して!」と何度となく言われているはずです。
その考え方があまりにも日本に深く浸透しています。
180°に開いた脚だから真横に出せるという前提条件を無視した指導を受けているはずです。
私が紹介している左右非対称のア・ラ・スゴンドの上げ方は、前提条件をクリアしなくても行える上げ方です。
何より美しいし、おそらく怪我も遠ざけます。
この上げ方が大人リーナや、まだ180°に開いていない子どもたちへのアプローチとしても十分に機能すると信じています。
今までそうだったから、自分がそう習ってきたからというコンフォートゾーン(思考停止)から抜け出さない限りは、この問題は解決しません。
左右対称というコンフォートゾーンからぜひ抜け出してほしいです。
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