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バレエ教師の実力は「レッスンが始まる前」に決まる

レッスン前の準備が大事

私が生徒として、気軽に通っていたオープンクラスでのレッスンで、
よく、同じアンシェヌマンを踊っていたことがあります。
 
その先生が振りつけるグラン・アレグロのアンシェヌマンは、
いつも大体決まったことしかしなかったのです。
 
トンベ・パ・ドゥ・ブーレからグリッサードしてアラベスク、
シャッセからアントルラッセして、
最後はつなぎのステップが入ってのグラン・ジュテ。
 

変えるとしたら、
グラン・ジュテがグラン・パ・ドゥ・シャになる、とかでした。
 
バレエ教授法の観点から言うと、
これでは、コンビネーションになっていません。
 
バレエ教師の仕事は、
 
「コンビネーションを作ること」
 
と、バレエ教師の役目で書きました。
 
ステップを教える際に、
いろんなバリエーションがあるということを
コンビネーションを通して教えるのです。
 
行き当たりばったりのレッスン構成では
こなせない部分です。
 
これに対して、ワガノワ先生はこう書き記しています。
 
「機械的にパを習得することに反対していたワガノワは、つねに彼女が前もって熟考して作った、多様な組み合わせのなかでパを与えた。−レッスンの場に来てからの教師の即興を、彼女は認めなかった。」
(『ワガノワのバレエ・レッスン』アグリッピナ・ワガノワ著 新書館 1996年 20pより引用)
 
ワガノワ先生の言葉を借りるなら、
行き当たりばったりのレッスンはダメということです。
 
日本ではバレエ教師に対する教育が充実していないこともあり、
コンビネーションを効果的に作る法則を学び、
その訓練を受ける機会が事実上ありません。
 
なので、
多分にセンスで済まされている可能性が高いです。
 
つまり、
出来る人は出来るけど、
出来ない人はいつまで経っても出来ない。
 
でも、
生徒を上達させるのは
行き当たりばったりではなく、
事前に計画され、
何を指導するかが
構成に反映されているレッスン。
 
このようなレッスンを行うには、
レッスン構成の能力と、長期的なスパンでとらえた指導要綱が必要になります。
 
さらに、それに基づく、月単位のレッスン構成表があれば、
レッスンの質の確保は確かなものとなります。
 
もし、これを指導要綱なしで行おうとしたら
 
・レッスンごとに前回までに何を教えたか
・次のレッスンでは何をどの辺まで教えるか
・それらを踏まえて目の前のレッスンでは何を教えるか
 
という問いのすべてに答え続けなければなりません。
 
これって辛くないですか?
 
それと質の確保が難しくないでしょうか?
 
それらの答えが予め書かれたものがカリキュラムです。
 
ワガノワメソッドがロシアを中心として
世界中に広まった理由の一つが
 
間違いなくこのカリキュラムにある、と私は見ています。
 
なぜなら、カリキュラムを使うことで生まれた余裕を
目の前の生徒一人ひとりに合わせた指導に向けられるからです。
 
次回は、カリキュラムについてもう少し詳しく書きます。
 
 
 
参考図書

 

 
 
 
 

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