
国内外を問わず、有名講師が開催するワークショップ (WS) には、
大勢の参加者が集まります。
ワークショップには、たいてい質問する時間が設けられているはずです。
その時間に
「質問のある方?」
と講師が聞いても、
何の反応もない事が珍しくありません。
これは大変もったいない。
WSに参加するときは、
「ただ聞きに行く」
という漠然とした動機ではなく、
「これが知りたいから聞きに行く」
という明確な目的意識があった方が、
具体的な行動改善に繋がりやすくなります。
そういった目的なしに、WSに参加しても、得るものは少ないように思います。
特に、バレエ教師が、自分の指導に何か生かそうとして参加するなら、なおさらです。
仮に質問があったとしても、
その内容もとても大事です。
例えば、ストレッチについて質問する場合、
1. 生徒にストレッチさせても上手く行き
ません。どうすれば良いですか?
2. 生徒にストレッチさせる上で、もっとも
効果的なエクササイズは何ですか?
3. 動的ストレッチと静的ストレッチの差と
目的について教えてください。
1から3に向かって、質問の質が上がっていることに気付かれたでしょうか?
ここで言う質とは、具体性や専門性のことです。
もし、参加の目的が、指導力の向上であるなら、ご自分の指導内容に、具体的な変化を起こすことが出来て初めて目的達成です。
そのためには、漠然と質問するのではなく、疑問に思ったことを解決するための、精度の高い質問をするとが大切です。
こう言った具体的な質問は、常日頃から研究していないと出てこないものです。
逆に言うと、漠然とした質問をする教師は、漠然と指導している可能性が高いです。
それでも、質問しないよりはよっぽどましです。
基本的に、質問の質に自信があってもなくても、質問した方が良いです。
そこから一歩前進できるのですから。
ところで、WS終了後に質問する人がいますが、あれはマナー違反ですのでやめた方が良いです。
WSでの質問は、受講料の対価です。
ですから、WSの時間内であれば沢山質問しても構いませんが、終了後は受講料を支払っていませんので、質問することは失礼にあたります。
WSの講師から情報や知識を得るには、その対価となるものが必要です。
それが受講料です。
WS終了後に質問して来ると言うことは、「タダ」で教えてくれと言っているようなものです。
これは講師が提供している情報や知識が「タダ」ではないということに配慮を欠いた行為です。
ご自身が教える側となった時に、受講生から一方的にタダであなたの専門知識を欲しがられたらどう思いますか?
それと同じです。
一方、WS内で質問することには、もう一つの側面があります。
それは、他の参加者にも学びとなるのです。
もしかすると、
それが知りたかった、と言う人がいるかも知れませんし、
そういう質問があったか、と興味を持つ人がいるかも知れません。
つまり、皆の前で質問することで、他の参加者にも学びをシェアすることが出来るのです。
運が良ければ、WSが終わった後に、誰かが質問に対してフォローしてくれるかも知れません。
そうやってフォローしてくれる人は、情報提供できたことを喜んでいるかも知れません。
つまり、WS内に質問するということは、関わる人を幸せにしていく可能性を含んでいるんです。
一方、WS後に質問したとすると、どうでしょう?
自分一人しか回答を得られません。
しかも、講師の時間を奪っています。
いかがですか?
タダで知識を得ようとする人を、こう呼ぶそうです。
「くれくれ星人」
なんでも「くれ!」という態度です。
本人にはその自覚はないので、抑えが効きません。
他所でも同じことを繰り返しているのでは?
とても大人気ないですね。
時間とはただ過ぎていくものでなく、相手の命の時間でもあるのです。
「タダでくれ!」
というのは、
タダで、人の命(=時間)を奪うことと同じです。
知識も、その人が苦労して得たものです。
時間とお金をかけて。
そこに配慮することなく
「タダでくれ!」
と、言ってはいけないのです。