バレエ指導者は通常、レッスンの中でプリエを1番ポジションから始めます。
この
「1番ポジションから始める」
に、疑問を抱いたことはありますでしょうか?
子どもたちが始めてプリエを学ぶとき、どのポジションから練習を始めるのでしょうか?
RAD (ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング) メソッドでは、
2番ポジションから始めます。
「足を2番にして、両膝を少し曲げ (上体を下げる度合いについては、教師から指示があるはず)、両膝を横へ押し開きながら上体を沈めていく。元に戻る。1番の足で同じことを繰り返す前に、2番の足でドゥミ・プリエを3回くり返してみる。」
(『ステップ・バイ・ステップ バレエ・クラス』ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング編 文化出版局 1997年出版 43pより引用)
2番ポジションからの方が、ターンアウトを実感しやすいという理由からですね。
ただ、指導の現場で教授法は変化する事がありますので、今では1番ポジションから始めさせているかもしれません。
そういう変化の理由も分かれば、指導力がつきます。
2番ポジションと1番ポジションの理解が深まったところで、1番ポジションからプリエを始めるようになるのだと思います。
ワガノワメソッドでは、
1番ポジションから始めます。
「Demi-pliéを第Ⅰポジションでマスターしたら、これをすべてのポジションで練習します。順序は第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲ、第Ⅴポジション、そして一番難しい第Ⅳポジション。
(中略)
上体は真っすぐに引き締めて引き上げ、両肩と骨盤は同じようにそろえて並べます。上体の重心は左右の足に均等にかけます。このことは、特に第Ⅱ、第Ⅴポジションで注意する必要があります。」
(『クラシック・バレエの基礎』N. バザーロワ/V. メイ著 かるさびな出版 1992年出版 18p~19pより引用)
ワガノワメソッドでは、ターンアウトはもちろん行うのですが、上体の重心のかけ方に注目しています。
2番ポジションからだと重心を上手にかけられないので、デメリットが多いと判断しているようです。
1番ポジションで重心のかけ方をマスターしてから2番ポジションに移行します。
確かに小さい子どもたちにとって、両足に重心を均等にかけるのは難しいことです。
それぞれのメソッドにそれぞれの目的があります。
メソッドの目的が分かれば、指導に裏づけが生まれます。
記事で参照した文献