ワガノワ・バレエ・アカデミーでは、
私服でレッスンを指導する教師がいらっしゃいます。
低学年では、動きやすい服装で指導しますが、
学年が上がれば上がるほど、担任の教師は私服の傾向が強くなるようです。
ピンヒールでレッスンするなんてこともあるくらいです!
ワガノワ・バレエ・アカデミーでは、
8年間で、生徒があらゆるステップを何も考えずに踊れるようにするのが、教師の役目だと以前書きました。
8年の間に、バレエの法則を徹底的に叩き込みます。
その指導は、低学年でこそ「手取り足取り」デモンストレーションやボディータッチによる修正ですが、
学年が上がるにつれて、言葉だけの指導に移行していきます。
もちろん上半身などの動きのニュアンスを伝えるために教師が動くことはありますが、
基本的には、言葉による指導になります。
バレエの法則を言葉を介して教授していきます。
デモンストレーションを見せなくても、法則が理解できれば動けるというレベルまで指導していきます。
ですので、教師はレッスン指導用の動きやすい服装にする必要がありません。
上記の動画は、ヴィクトリア・テリョーシキナ(当時ワガノワ・バレエ・アカデミー8年生、現マリインスキー・バレエ団プリンシパル)の指導風景ですが、
先生は、ご覧の通り私服ですね。
ピンヒールやスカートでも問題なさそうですね。
それとは逆に、生徒の方は大変です。
レッスンの間は、脳がフル稼働です。
身体もフル稼働です。
法則を身体で体現するのですから、表現どころの話ではありません。
脳もフル稼働です。
「次に何して、このときはここに気をつけて、etc.」
脳も身体もヘトヘトになります。
以前、一緒にお仕事させていただいたことがあるニコライ・コリパエフさんは
「ダンサーにとって一番必要な要素は」との問いに、
「頭脳」
と即答していたのを思い出します。
入学試験であまり差がなかった生徒たちの実力差は、頭の良さや感性の鋭さの差として現れてきます。
最後まで残った8年生は、身体条件・頭の良さ・感性の鋭さの整った超人と言えます。
言葉だけで身体を反応させるように、バレエ教授法に則って指導するから、教師は私服でもいいのですね。
ちなみに、私は子どもを指導するときは私服、大人を指導するときはレッスン着で指導しています。
大人には、デモンストレーションが必要ですからね!
今のところ私服の時にピンヒールを履くことはありません…。