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選ばれるとは?

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コンクールで選ばれる子、海外バレエ学校オーディションで選ばれる子、バレエ団で選ばれる子。

選ばれる子と選ばれない子は、一体何が違うのでしょうか?


私の教え子の、男子生徒の例で考えて見ます。

その男子生徒は中1の夏にバレエを始めました。

その一年後、中2の夏にキエフ国立バレエ学校のサマープログラムに参加し、講師の先生に 「才能がある」 というありがたい言葉をいただき、オーディションを受け同校芸術監督に認められ、留学を許可されました。

そして中3の夏からキエフに留学しています。

バレエ歴1年で

「才能がある」

とは、どんな才能が認められたのでしょうか?

たしかに、脚は開いている方です。

ですが、それだけでは 「才能ある」 とは、ならないでしょう。

答えは、留学のきっかけを与えた下さった講師の先生に、留学直前にお会いした際に明らかになりました。

そこで先生が語った言葉は、次のようなものでした。

「去年より背が本当に高くなった。バレエダンサーの成長の仕方をしている」

先生が認めた才能は、技術でも知識でも本人のやる気でもなく、

「背が高くなるであろう」

という、彼の身体だったのです。

留学直前に参加したワガノワ・バレエ・アカデミーのワークショップでも、講師の先生に

「背が高いのは素晴らしい才能」

とおっしゃっていただきました。

キエフもワガノワも、ロシア・メソッドの学校です。

両校の先生が技術より高く評価した才能は、

「身体条件(背の高さ)」

でした。

最近の海外バレエ団の男性ダンサーはみな長身です。

長身じゃないと、入団のチャンスが減る傾向にあります。

日本ではどうでしょう?

日本人の気質として、

「努力すれば報われる」

という

「努力神話」

がまかり通っている気がします。

バレエは、

「努力すれば報われる」

というものでしょうか?

報われなかった人たちは、努力が足りなかったのでしょうか?

バレエは様式美です。

バレエを構成する、「決まりごと」 の多くは、身体条件という前提の上に成り立つものです。

残酷ではありますが、

「努力」

だけでは越えられない壁は存在します。

だからといって、身体条件で全てが決まるわけでもありません。

そこは十分認めつつも、バレエに適した身体条件を満たす事がとても大事です。

言い換えると、身体条件を満たした生徒が有利です。

だから、ワガノワ・バレエ・アカデミーなど国立のバレエ学校はオーディションをするわけです。

入り口で篩にかけてしまう。

身体条件を満たしていないと、それを補おうと身体に負荷をかけ続けるようになります。

レッスン時間を増やしたり、トレーニングを増やしたり…。

それを「努力」と言うのかもしれません。

その「努力」により、身体への負荷が増え、オーバーワークになるかもしれません。

そこからが人生の分かれ道。

オーバーワークを乗り越えて夢を叶える人も居るでしょうが、逆に、それがたたり怪我をして夢をあきらめるという結果に終わるかもしれません。

ここで、

身体条件+努力=100

と考えてみましょう。

A. 身体条件が90だとしたら、努力10で100になります。
B. 身体条件が10だとしたら、努力90で100になります。

AとB、どちらが選ばれやすいのでしょうか?

どちらも何かが足りないですね。

Aの、身体条件を90%満たしている人の努力10%は値が低すぎますね。もう少し努力したほうが有利になります。

Bの、身体条件を10%満たしていいて努力が90%だとすると、身体への負荷があまりにも大きいので、不利です。

Bの人は、注意しなくてはならないことがあります。

それは怪我のリスクです。

努力は万能ではありません。

あらゆる困難に対して、努力だけで立ち向かっては、怪我のリスクを高めるだけです。

シルヴィ・ギエムを例に挙げるまでもなく、身体条件が高く、しかも徹底的に努力するダンサーがいたら、絶対に適わない領域があるということに目を向けましょう。

だから、その領域に少しでも近づくために、バレエに適した身体作りに時間を割くべきです。

場合によっては、レッスンを減らしてでもそういう時間を確保すべきです。

「ただでさえ忙しいのに、さらに時間を作るのは無理!」

という声が聞こえてきそうです。

そして、その通りです。

寝る時間を削って体作りの時間を作っては本末転倒です。

十分な成長や疲労回復を手に入れる事が出来なくなってしまうので。

前述のように、身体条件が良いと物事がスムーズに運びます。

前述したキエフの先生も、ワガノワの先生も、身体条件が良いと上達がスムーズに進むということをご存知なのでしょう。

「努力」

ではどうにもならない領域です…。

そのことを踏まえて、身体条件を満たすための整体やトレーニングを取り入れるのであれば、減らすべきものは一つに絞られます。

バレエ・レッスンの回数です。

合計点が100の中で、身体条件の領域を増やす。

合計点が100を超えるような努力は常態としないほうが良いです。

その先に待っているのは、怪我や故障です。

「選ばれる子」

何で選ばれるのでしょうか?

これを見誤ると、怪我や故障を抱えたパフォーマンスの低いダンサーになってしまうかも知れないし、プロとして活動する期間が短くなってしまうかもしれません。

その一方で、花を開くダンサーもいます。まるで両極端ですが。

これら両方あり得るということを見据えて、いま何をすべきか判断なさってください。

努力の有無というプロセスではなく、結局どうなるかという結果を見据えて判断できるようになると、夢が叶いやすくなります。

そうは言っても簡単に見えるものではありませんね。

だから、その目を養うように勉強するのです。

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