クラシックバレエでは方向がとても大事です。
身体がどの方向に向いてるかで、客席に与える印象が大分違ってきます。

上記のイラストは舞台の方向を示しています。
方向1は客席に向かい、右回りで45度ずつ回っていきながら番号が増えていきます。
45度✕8回で360度です。
舞台では方向1に向かって何かをするということはあまりありません。
超絶技巧を披露するときは方向1に向かって行いますが、だいたい方向2か8に、身体を向けます。
一体なぜなのでしょうか?
肩の事をフランス語で ”épaule(エポーレ)” と言います。
épaulement croisé (エポールマン・クロワゼ)や épaulement éffacé (エポールマン・エファッセ)は馴染みのある言葉ですね。
前の肩をどの方向に向けるのか、
これはクラシックバレエにおいてとても大事な概念です。
クラシックバレエは上流階級で踊られた踊りが、その後品格を保ったまま更に発展していきました。
女性の踊りは、上流階級の貴婦人の仕草が活かされています。
上流階級でバレエが踊られていた時期、女性が宝石を飾っていた場所が肩でした。
ルイ14世のお妃、マリー・テレーズ・ドートリッシュの肖像画をご覧いただければピンと来ると思います。
※時代の流れによって肩と胸の部分が大きく開いているものもありますが、肩に宝石が飾られています。
バレエが上流階級で踊られてた時代、女性にとっての肩の宝石は、「美しさ・優雅さ・品格・権威」などを表現する手段でした。
その肩をどのような角度で見せるか、光に反射させるにはどのようなポーズがいいか。
そのようなことを考えながら当時の女性たちは、鏡の前でさまざまなポーズを取っていたことでしょう。
この肩の見せ方一つで上品なのか、下品なのか、それすらも全て表現できてしまうとても重要な要因なのです。
例えば、ジゼルのバティルド(大公の娘)は肩に大きなブローチを付けています。
位の高さをブローチの大きさで表現しています。
また椿姫ではヴィオレッタが下着だけ付けて肩を出している場面があります。
肩に宝石をまとってないことで、ヴィオレッタが堕落した姿を表現しています。
華やかな生活をしていた時は肩に宝石があったはずなのに。。。
肩の見せ方一つでこんなにも表現が豊かになるのです。
épaulement croisé (エポールマン・クロワゼ)では、上体は垂直にし力強い印象を与えるように立ちます。
右脚前で方向8を見ている場合、右肩が客席に向きます。
この右肩の宝石を惜しみなく見せるニュアンスです。
それとは反対に épaulement éffacé (エポールマン・エファッセ)では前肩の腕が上がるのが基本のポーズなので、
後ろ肩の上に乗せた宝石は客席から遠くなり、隠れたようになります。
前肩は腕が上がるので宝石は見えにくくなります。
それとも、わざと宝石を隠して相手に探してもらうようなニュアンスでしょうか。
いかがでしょうか?
肩の上に宝石が乗っていると想像しただけで、さまざまなニュアンスを与えられるようになるのが大変おもしろいですよね。
バレエの歴史に少し触れただけで、大きな収穫があります。
ぜひ、肩の意識を持ってポーズを決めてみてください。
貴婦人になったつもりで!!!






