
私がバレエを教えるときの指針は
世界最高レベルのバレリーナに、いつでも指導できるかどうか
です。
私が大好きな女性ダンサーは
もう引退してしまったウリヤーナ・ロパートキナ。
そしてスヴェトラーナ・ザハロワ。
お二人ともロシア国立ワガノワバレエアカデミー出身です。
以前、ウリヤーナ・ロパートキナが、日本でワークショップを開いたことがありました。
興味深く見学したことを思い出します。
その時のデモンストレーションはどれも美しく、うっとりするものばかりでした。
ですが、うっとりするために見学しに行ったわけではありません。
気を引き締めて何か指導に活かせるものはないか、と真剣に見ていました。
また、見学の最中にこんなことも思っていました。
「私がロパートキナに指導するとしたら、何を指導できるだろうか?」
ダンサーのワークショップを見学するたびに、何を指導できるだろうか?
と、思うことにしています。
もし、何も指導することがないとすれば、それは私の実力不足が原因です。
どんなダンサーに対しても、必ず指導できるポイントはあります。
教授法的に、あの動かし方は正しいだろうか?
と、常に考えながら見学しています。
指導できるかどうかの基準はただ一つ。
教授法に則っているかどうか。
この基準がなければ、プロのバレリーナに指導なんて口が裂けても言えません。
全く動けない人を教えるのは簡単です。
こうして、ああして、と言うだけですから。
新たな情報をインプットしてあげればいいのです。
ですが、プロのバレリーナたちは、レベル的にとても高いところにいるので、
新しい情報は不要です。
何がおかしいか、見破らなくてはなりません。
その基準が必要です。
それがバレエ教授法であり、具体的にはバレエの法則です。
ザハロワに指導するとき、
自分の感覚を教えるなんて見当違いも甚だしい。
バレエの法則に照らして何をどうすれば良いか。
それを的確に指摘することがバレエ教師の役目です。
「出来るようになるまで繰り返して」
なんて口が裂けても言えません。
教師の一言でその場で変えさせる。
その一言が出せるか
が、私にとっての課題です。
バレエ教師でいる以上、このぐらいの課題を自分に課すのは当然です。
参考図書