8/22(水)のバスターズのテーマは
「引き上げ」
でした。
引き上げはもちろん筋肉の作用なのですが、
筋肉が正しく動くためには、正しい形というものが存在します。
今回はその形についてお話します。
バスターズにお寄せいただいた質問で特に私が着目したのは下記の質問です。
- 自分では引き上げしてるつもりでいたら、肩に力が入ってしまうようで、いつも先生に注意されます。力を抜く、もしくは力が入らないようにするには、どのようにしたら良いでしょうか?
- 背中を緊張させすぎて、緩めることができなくなりました。そのため、背中を痛め、整体に通っています。
- お腹を上げて!お腹落ちている!お腹が抜けている!お腹が伸びている!などとよく言われます。
- 背中が落ちます。
すべて上体の立て方に問題があるようです。
ロシア・メソッドでは、上体をどのように立てるか、どの形が正しい形か、ということを1年生の段階で徹底的に学びます。
ロシア国立バレエ・アカデミー1年生が一番最初に学ぶ課題は「上体の立て方」です。
なんと10分の間、ずっと上体を立たせるということをレッスン初日に行います。
教師はひとりひとりのところまで行き、身体を触って正しいポジションに矯正していきます。
どのような形が教授法的に正しいのでしょう?
順を追って行い方を見てみましょう。
- 脚はナチュラルな1番に立つ
- 両手バーにし(手は肩幅に置く)手首は下にする
- 肘は身体につかないように少し離す
- 脇の下に空気が流れるように空間を作る
- バーによりかからない
- 上体と脚が垂直になっているか確認する(手を離しても立てる状態になっていればOK)
- かかとが床にきちんと接地しているか確認する
- お尻は中に入れ込み、下から押し上げるように保つ
- おへそを上に突き上げて中に入れ込む
- 足裏3点で均等に立つ
- 5本の趾すべて床につける
- 脚の前側の付け根を伸ばす
- 肩甲骨を下げる
- 頚椎伸ばす(前に突き出さない)
- 首の前90°(首と顎でつくる角度のこと)
- 正面見る
- 内側の筋肉を回す(少しドゥミ・プリエにして手で回して膝を伸ばす)
上体の立て方だけで17項目あります。
この17項目はすべて生徒自身が行うことです。
教師は生徒のラインをチェックし、矯正していきます。
ですので、教師は正しいラインが何かということをわかっていないと指導できないわけです。
冒頭の質問は、上記の17項目を正確に行うだけで解決できることですね。
もう少し詳しく説明すると、
- 肩に力がはいるのは、13項目目の肩甲骨を下に下げていないから起きる現象です。肩甲骨を下げる力を肩で補ってはいけません。肩ではなく肩甲骨を意識しましょう。
- 背中を緊張させすぎて、緩めることができないというのは、同じく13項目目の肩甲骨の使い方の問題です。背中は肩甲骨を下げる筋肉を使うので、それなりに緊張します。それにより痛みが出ることもあるでしょう。これは筋肉痛と考えることができます。緊張させた後、緩めるエクササイズを行うといいですね。上体を波のように動かしてみてください。ほぐれるはずです
- お腹を上げて!お腹落ちている!お腹が抜けている!お腹が伸びている!というのは、項目8,9,12,13を行うと解決します。まず正しい形を心がけてください。そうすれば自ずとお腹が引き締まってきます。
- 背中が落ちますというのは、項目13の肩甲骨を12の脚の付け根前側を伸ばす、を意識してください
上記のような解決策になります。
いずれも教師が手で触って直すのが望ましいのですが、それがかなわないのであれば、動画サイトでワガノワ生のレッスンを研究するのがいいと思います。
Youtubeに沢山動画が載っていますので、ぜひ活用してください。
次回のバスターズのテーマは「上半身」
バスターズの中で詳しく解説します。
お楽しみに!