コンビネーションを組むのがとても上手な教師がいます。
ワガノワ・バレエ・アカデミーなら、
シトニコワ先生や、ディアナ・ヴィシニョーワを育てたコワリョーワ先生。
多彩な動きを生徒たちに提示するスペシャリストです。
ところで、このコンビネーションを組む能力はすべての教師に必要かというと、そうではありません。
コンビネーションを組む能力は、バレエ教授法では7、8年生担当の教師に求められるものです。
これより前の学年で教師に求められるものは違います。
たとえば、
初級は1〜3年生までの学年です。
このレベルは、バレエの基礎を教える段階です。
ひとつ一つのステップを正確に理解し、動かせるようにするのが、教師の役目。
コンビネーションを組む能力は必要ではありません。
正しい動かし方の指導ができるかどうか、が教師に求められます。
中級は4〜5年生までの学年。
このレベルでは、初級よりも上体の動かし方がより重要になります。
そして動きと動きの間のつなぎを少しずつ勉強していきます。
少しコンビネーションを組む能力が必要になりますが、ステップの数が少ないので、さほど難しいコンビネーションにはなりません。
上級は6〜8年生までの学年。
特にコンビネーションを組む能力が必要になるのは、7、8年生です。
6年生までは基礎的なコンビネーション、7年生からは舞台でも通用するような複雑なコンビネーションを組める能力が教師に求められます。
このようにバレエ教師に求められる能力には段階があります。
初級生相手に複雑なコンビネーションを組んでも生徒はついてこられません。
上級生相手に初歩的なコンビネーションを組んでも意味がありません。
学年に合わせて何を指導するか、しないか。この選別を教師はしないといけません。
さて、上記は国立バレエ学校の話。
大人リーナへの指導となると話が違ってきます。
たとえば、学年ごとの段階を無視して、
いきなり難しいコンビネーションを提示して何も説明しない指導。
はたして大人リーナにとって学びにつながるでしょうか?
アカデミーの7、8年生は、1〜6年生までの課題をすべて学んできているので、動きの詳しい説明は不要ですね。
提出されたコンビネーションをこなせるかどうか、ということが大事な学年です。
一方、大人リーナは1〜6年生までの課題を学んでない方がほとんどだと思いますので、
コンビネーションの提示だけでは学びにつながりません。
その動かし方の説明が必要です。
コンビネーションを組むことが出来ても説明がないレッスン。
そのようなレッスンから大人リーナはどれだけの学びが得られるでしょうか?
上達したい大人リーナにとって必要な教師とは、
一つ一つの動きをバレエ教授法に基づいて説明してくれる教師、
複雑なコンビネーションは組めても説明をしない教師、
どちらでしょうか?
大人リーナには、ご自身が納得出来る指導をしてくれる教師に出会っていただきたいと、切に願います。