
小5の息子が地元サッカークラブに通っていた時の話。
このサッカークラブの保護者同士がとても仲が良く、何でも言い合える関係でした。
こんなことを言われたことがあります。
「先生って言われる人はその立場に酔って図に乗る」
体育会系の彼女は結構ズバズバ言うタイプ。
私に対してもズバズバ言います。(笑)
私は、「そんなことないよ〜」と返事してみたものの、なにか心に残るものがありました。
ところが、
彼女の発言は当たっていました。
「先生、先生」とチヤホヤされ、
教えることに慣れてしまっている教師は、教わることの意味を忘れがちです。
知らず識らずのうちに傲慢になっている可能性が高い。
私も例外ではありませんでした。
クラシックバレエ教授法を習いたての頃、自分がバレエを知らないとは想像すらしませんでした。
長年有名な先生に付いてレッスンを受け、それなりに舞台経験もありました。
もうバレエを教えるには十分だと思い込んでいました。
ところがロシアバレエ教授法を学んでみて、全く理解できないという場面に何度も遭遇しました。
こんな簡単なことも理解していなかったのか。。。
ちっとも十分じゃない。
今までいかに傲慢だったのか・・・
教授法を知らない時期に教えていた生徒さんになんて申し訳ないことをしてきたのか。
後悔しっぱなしでした。(泣)
バレエは伝統芸能です。
伝統というからには正しく継承していく責務がバレエ教師に求められます。
ロシアでは、国家資格がないとバレエ教師になれません。
当たり前です。伝統芸能ですから。
日本で、スラーヴァ先生にたくさんダメ出しされることで目が覚めました。
継承していくという意思なしに、勝手にバレエを指導することがいかに傲慢であるかということに。
伝統芸能であるバレエの前では、私個人の経験なんてたかが知れてるし、プライドなんてなんの意味もないし役にも立ちません。
継承しているという自覚なしにバレエを指導するのは、むしろ有害です。
でも、当事者はその事に気づきません。
ましてや、自分の経験を生かして独自の指導を始めてしまったりする。
この方が効果的とか。
以前の私がそうでした。
でも、違ったんです。それは単に自分がバレエ教授法を理解していないだけだったんです。
自分の不勉強を棚に上げてバレエを教えることは、バレエ教授法に対して失礼です。
独自の指導法とか、図に乗っている暇なんかありません。
恥とか、プライドとかそんなことを気にしている暇もありません。
真摯に、謙虚に、バレエ教授法と向き合うしかありません。

