さすがはシトニコワ先生。
ワガノワ・バレエ・アカデミーの先生です。
私のバレエ教授法講座を受講なさっている大先輩の先生からこのようなお話を伺いました。
10年以上前になると思いますが、ワガノワ・バレエ・アカデミーのシトニコワ先生の教授法の講座があり、受講させて頂きました。
毎年夏に2~3日の日程で3年間続けてくださいました。
その講義の場で、動きにくせのあった先生に
「生徒さんの前で絶対動きを見せてはいけない。その分勉強してきちんと説明して伝えられるように努力しましょう」
このようにおっしゃっていました。
ロシアでは、国家資格のあるバレエ教師しかクラシック・バレエを教えることができません。
無資格のまま教えることは違法です。
国がバレエ教師のレベルを担保しているので、生徒が上達するというシステムです。
日本では国家資格なしに、自由に教えることができます。
そのことに恐怖心を抱かない教師が多く存在します。
そしてその安易な思考が生徒に不幸をもたらす…
これが現実だったりするわけです。
シトニコワ先生は一見バレエ教師に厳しいことをおっしゃっているように見えます。
はたしてそうでしょうか?
バレエという伝統芸術を継承する立場にいる先生からしてみれば、
日本のバレエ界の未来にとって有益なアドバイスをしたのではないでしょうか?
正しい動きができないバレエ教師が、生徒にお手本を見せて指導する。
それがバレエの正しい動きの習得に役立つでしょうか?
シトニコワ先生はきっと役立たないとお考えになった。
教師個人のバレエに対する愛情とか、情熱とか、熱意とか、
そんなことよりもバレエの正しい継承のほうが大事。
優先順位から判断されたのだと思います。
自分の行動が今後のバレエ界にどのような影響を与えるか、
そういう大きな視点でバレエに向き合えばシトニコワ先生のおっしゃることは至極ごもっともです。
「あなたは生徒の前では踊ってはいけない」
何とバレエに対する愛に満ちた言葉でしょう。
日本バレエ界あるいはバレエそのものを心配なさっての発言だと思います。
視点が高い。
安易にバレエ教師になり、自分の動きを真似させるだけで教授法の勉強すらしない。
バレエに対する敬意などないし、その居心地の良さから抜け出そうともしない。
そんな視点の低い教師に学んでいないか、大人の生徒さんにはしっかり目を養っていただきたいです。
さもないと、
- 変な癖がつく
- 上達しない
- 怪我しやすい
と三拍子揃い、残されたバレエ人生を無駄にすることになるかも知れませんよ。
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