ロシアバレエ教授法では生徒が理解できるように噛み砕いて説明しないのは何故か?

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私がディプロマを頂いたワガノワ・バレエアカデミー クラシックバレエ教授法では

 

指導の際にこう言うべき、ということが決まっています。

 

例えば、「毎回同じ言葉で指導する」というのもあります。

 

それは一体なぜなのでしょう?

 

毎回、

 

同じ言葉。

 

そうなんです。

 

どの生徒にも同じ言葉で説明します。

 

生徒が理解しなくても毎回同じ言葉。

 

生徒が理解できるように噛み砕いて丁寧に説明しません。

 

同じ言葉を毎回聞いて、それを理解できるようになるまで待ちます。

 

 

「各々の生徒の理解度に合わせ、理解するまで丁寧な指導をします」

 

上記は、なんだか親切なキャッチフレーズに聞こえますが、

 

ロシア・メソッドはそれを良しとしません。

 

なぜなら、親切丁寧に説明すると、生徒が理解しないからです。

 

???

 

親切丁寧にすると生徒が理解しない?

 

なんだか矛盾しているように聞こえますね。

 

でもこれって、真理なんです。

 

 

Jリーグ 川崎フロンターレの強さの礎を築いた風間八宏氏は、

 

伝えすぎることの弊害について次のように語っています。

伝えすぎると、自分で考えなくなり、自分で考えさせないと、結局、伝わらないのです。

(中略)

指導者が、自己満足で伝えたつもりになっているだけでは、結局何も伝わらない。

ですから、私は「伝える」ために「伝えない」から始めたのです。

風間八宏著『伝わる技術』(51,54pより)

 

また、スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長 星 友啓氏は、

「手取り足取り丁寧に教える」ことについて、アメリカ・マサチューセッツ工科大学の2011年の研究結果から下記のように記しています。

教え方が丁寧で「効果的」であればあるほど、子どもがすでにその知識やスキルを身に着けたと満足して、それ以上そこから学ぼうとしなくなる。

丁寧に手取り足取り教えることで子どもの興味をつぶしてしまわないよう、子どもの探究心を更に引き出し、主体的に学ぶ姿勢を引き出すように意識したい。

〜星 友啓著『スタンフォードが中高生に教えていること』33pより〜

星氏は、手取り足取り丁寧に教えると、学びが浅くなり探究心が削がれると記しています。

 

 

上記の引用からも、伝えすぎること・教えすぎることへの弊害について知ることができます。

 

これは子どもだけに当てはまるのではなく、大人にも言えることです。

 

生徒が理解できるレベルに合わせて説明すると、生徒は理解しようとする努力を怠ります。

 

その時は理解したと満足するでしょうが、その後の努力に結びつきにくいということが研究結果からも明らかになりました。

 

教師は生徒に理解してほしくて親切丁寧に説明するけど、実際は生徒の理解の妨げになっている、ということです。

 

じゃ一体全体どうすればいいの?

 

という嘆きが聞こえてきそうです。

 

答えは一つ。

 

毎回同じフレーズで生徒が理解するまで待つ。

 

辛抱が必要です。

 

国立バレエアカデミーだと、辛抱する期間が決まっています。

 

年度末テストまで理解できていなければ退学です。

 

頭が良くないとバレエを職業にすることができない仕組みです。

 

ですから、ロシアのバレリーナ、バレエ教師はみなさんとても頭がいいのです。

 

 

それに比べて日本はどうでしょう?

 

バレエが下手でも、バレエ脳が充分でなくてもバレエ教師になれてしまいます(もちろんバレエ脳の素晴らしいバレエ教師もいらっしゃいますが、そうではない教師が大量にいるのも事実です…)。

 

そして親切心いっぱいに丁寧に説明したりします。

 

上達から遠ざかるとは知らずに、愛と情熱と善意から上達させたくて丁寧に説明します。

 

 

大人リーナの生徒さんにとっては、親切丁寧な説明は親身になってくれているようで心地良いかも知れません。

 

「この先生に習いたい。」と確信を得るかも知れません。

 

でもその親切丁寧な説明が上達の妨げになっているとしたらどうでしょうか?

 

そもそも親切丁寧になるのは、伝えるべき知識を持ち合わせていないからです。

 

ロシア・バレエ教授法では、沢山あるバレエの法則を言葉で伝えることが教師の役目とされています。この役目を果たそうと思ったら生徒一人一人に合わせて丁寧に説明なんてやってられません。それだとレッスンが成立しなくなってしまいます。

 

こういった教えるべき中身を持ち合わせていないから、お茶を濁すために親切丁寧に生徒一人一人に合わせた理解しやすい指導をすることになってしまうのではないでしょうか?

 

親切な心地よさを取るか、上達をとるか。

 

ご自身のバレエの優先順位で答えは決まると思います。

 

 

ここで経験談を一つ。

 

私が毎回同じ言葉で指導し続けた結果、ある日突然完璧に踊れるようになった大人リーナの方がいらっしゃいました。

 

「あ、できるようになっている」

 

と、ご本人もびっくり。

 

これは指導の言葉と体の反応が一致した結果です。

 

脳にシナプスができたのです。

 

だから、今後ずっとできる。

 

親切丁寧な指導はこのシナプスづくりを邪魔しているとも言えます。

 

あなたは、どちらの指導がご自分にとってプラスになると思いますか?

 

ケアされていると感じる心地よい親切丁寧で上達しない指導か、成果実証済みの同じ言葉を繰り返され上達を待つ指導か。

 

バレエ教室を選ぶ際の参考になさってみてください。

 

 


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