
動脚をきれいなà la seconde(ア・ラ・スゴンド)に出したい!
それも90°へ!
バレエを習っている方なら誰しも思うことではないでしょうか?
ところで、そもそも正しいà la secondeをご存知でしょうか?
à la secondeはまず、動脚が真横に出されていないといけません。
また、動脚が方向の3点と7点に向いていることも忘れてはいけないことです。
舞台の正面を1点として、時計回りに45°ずつ回っていくと、8点まで方向があります。
通常2点または8点に上体が向くとépaulement(エポールマン)のpose(ポーズ) になります。
à la secondeは、poseではありません。
動脚が2番であるということです。
脚のポジションの2番。はい、これです。
pliéの2番を想像してください。
右脚も左脚もお互い同じ形をしているはずです。
どちらかが斜め前に出ていることはありません。
脚のà la secondeは、軸脚と動脚が2番ポジションを形つくっているという意味です。
だから、動脚を斜め前に出したら、それはもうà la secondeではないのです。
もし斜め前に出すのなら、上体がépaulement poseでないといけません。
écartéのposeですね。
このように上体の方向と、動脚のポジションを混同している指導を目にすることがあります。
つま先の方向に動脚を出すのは、解剖学的に正しいから…。
という理由を聞いたりしますが、
バレエでいちばん大事な方向を無視して指導すると、それはもうバレエではなくなってしまいます。
指導者オリジナルのバレエメソッドと宣言して指導するならまだしも、既存のメソッドを謳ったり、「これがバレエ」と指導したりするのは生徒さんに間違いを教えることになります。
今すぐやめてもらいたい。
もし日本にバレエを守る法律があったら即刻逮捕です。
バレエは様式美です。
決められた形があります。
その形を無視したり、教師が勝手に改変したら、それは様式美から外れますので、もうバレエではないのです。
Battements tendusで動脚をつま先の方向に出すようにという指導は180°ターンアウトができる人だけに意味を持つ指導です。
大人リーナの方で180°ターンアウトができる方は非常に稀なので、この指導には教育的意味がありません。
様式美から外れているからです。
解剖学的には、無理のない脚の出し方という概念があると思いますが、それは解剖学的な概念であって、バレエの概念ではありません(というか、解剖学はバレエと関係ありませんので勝手に使わないでくれ、ということかも知れないんですけど、ここでは深入りしません)。
他所の概念を勝手に持ち込んで「これこそが正しい」なんて押し付けないでください。
ここでたとえ話。
ダンサーAとダンサーB。
Aは、両脚の可動域が180°、Bは220°。
この二人に可動域いっぱいでつま先の方向に脚を出すようにと指導をします。
右脚のイラストをご覧ください。
Aは真横に脚を出します。
Bは真横よりも後ろに脚を出します。
この指導は合っていますか?
はい、間違っていますね。
つま先の方向に出すという解剖学的な概念ではなく、à la secondeに出すのです。
様式美には一貫性があります。
もちろんBは可動域最大で脚を出す訳ありませんから、このようなことは起こるはずはありません。
でもこのおかしな指導を大人リーナにはするっておかしいと思いませんか?
180°開いた人がbattements tendusで脚を出したら、たまたまつま先と同じ方向だった、というだけです。
つま先の方向が優位ではありません。
à la secondeに出すということが優位なのです。
見えていることが本質ではないということです。
解剖学的に合った動かし方はつま先の方向。
これはたまたま脚が出る方向とつま先の向きが同じに見えたことを180°開いてない人に当てはめてしまった結果に過ぎません。
だから人によって出す方向がバラバラ。
解剖学的に正しくすると一貫性を失います。
最後に、大人の発表会を想像してみましょう。
上記ダンサーA(180°)とB(220°)に、C(120°)を加えた三人でパ・ド・トロワを踊るとします。
三人がそれぞれのつま先の向きにバラバラに脚を出すのが解剖学的に正しいバレエ。
一方、三人とも一糸乱れず同じ方向に脚を出すのが本来のバレエ。
あなたなら、どちらに美を感じますか?
大人リーナのみなさんは、バレエを踊りたいはずなので、一貫して動脚をà la secondeに出してください。
つま先の方向ではなく。
それにしても、このたぐいのデタラメ指導は跡を絶ちません。
どうにかならないものでしょうか?
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