
つい最近、パ・ド・ドゥのリハーサルを見てほしいという申し出を受け、
見ることになりました。
この二人はいつも二人だけで練習をしていて、うまく行かないことがあり、行き詰まっていた様子です。
結果を先にお伝えすると、お二人とも感動して帰られました。
二人ともとても有能な若手ダンサーです。
男性ダンサーは、日本の有名バレエ団に研究生として所属していたこともある実力を持っています。
その二人が踊ってみると、残念に思えることが多かった。
この二人のせいということではなく、あまりに学ぶ環境が悪かった。
毎度のことながら、デュエットの基礎を学んでいない。
二人ともお互いの力のかけ具合がわからず、戸惑っている様子。
教授法で指導したら、すぐに良くなりました。
動きが安定して、二人の目が輝きました。
元々お二人とも実力があるので、すぐに理解します。
指導後に聞いてみると、
「このような基礎は教わったことがない。」
とのこと。
たった1時間の指導で見違えるようになったということは、まだまだ伸びしろがあるということです。
見方を変えると、その伸びしろが潰されてしまう環境があるというのも事実。
まずい、と思いました。
日本のバレエ界、まずいぞ。
日本にはアカデミーが存在しないので、デュエットがおろそかになるのは十分承知です。
だとしたら、バレエ団で若手育成としてしっかり教育するべきです。
でも、その教育はされていない。
見様見真似で習得するしかないという現実。
やばい。
相当、やばい。
真似る能力に長けている人は、見様見真似でそれなりにできるかも知れませんが、
それができない若手ダンサーもいますし、
そもそも見様見真似では習得が不完全に終わったり、怪我のリスクが高まったりします。
しかも、やっていることが正しいかどうか検証しようがありません。
すべてが「こんな感じ」に終わります。
なぜそうするのか、その動きの背後には何があるのか、といった見えない部分が抜け落ちていきます。
コピーによる劣化は避けられないのが常です。
デュエットの技法を知っていれば、上記のようなことは起きません。
写真で紹介した書籍があります。※
DVDもあります。(フェアリー、ワガノワシリーズで販売されています)
簡単に手に入ります。
何でバレエ団や彼らの指導者はそれをしなかった?
そういう情報を若手ダンサーに教えるだけでも相当役に立つはず。
バレエ団は、研究生に対して、何を研究させているんだろうか?
研究材料を示さないのか?
カンパニーで教える時間がないのなら、書籍やDVDを案内するぐらいはしてほしい。
ロシアのバレエ学校では、デュエットは6年生から8年生まで3年間学びます。
6年生ではリフトはせずに、段階的に難易度の高い動きへと進んでいきます。
やはり毎回言うことですが、段階があります。
見様見真似ではこの段階を無視することになります。
結果、怪我につながるのです。
そして、怪我をしたらダンサーのせい。
退団を余儀なくされる。
日本のカンパニーはダンサーに優しくないですね。
そう思える出来事でした。
日本のカンパニーに所属している若手ダンサーのみなさん、自衛が必要です。
生徒だけでなく、若手ダンサーにも厳しいこの日本のバレエ界、どうにかならんか?
■参考図書※
オンラインなのに対面レッスンに参加できる『ハイブリッドレッスン』


