バレエは様式美を表現しますので、決められた身体の動かし方というのがあります。
代表的なのは、「ターンアウト」 です。
脚を股関節から外旋することです。
レッスンでこの 「ターンアウト」 が出来ないと、
「ターンアウト出来ていませんよ。脚を開きましょう。」
と、教師が「指摘」することがあります。
特に、珍しくはない、普通によく聞かれる教師の一言のようですが、
この一言。
これは指摘であって、指導(=問題解決)ではありません。
指摘と指導。
細かいようですが、とても重要な違いがあります。
指摘とは欠点や誤りなどを指し示すこと。
「膝が伸びてない」
「カマ足になっている」
「肩が上がっている」
など。
理想からどうズレているかを教えているわけです。
言っていることは正しいし、気をつけなければいけないことなので
一見ありがたい言葉のように聞こえます。
でも、
生徒さんは、指摘を聞きに来ているのではありません。
どうすれば出来る様になるのか?
どうすれば指摘されなくなるのか?
という問題を解決してくれる 「指導」 を受けに来ているのです。
教師がしなくてはいけないことは、
ターンアウトができていない生徒さんをよく観察し、
教授法に則って 「ターンアウトの仕方」 を指導(=問題解決)することです。
そのためには、次の三段階を経る必要があります。
まず、生徒を
1. 観察し←ここが指摘の部分
2. 調整し←この部分が指導
3. 確認する←指導が適切であったかの確認。不適切なら、また調整からやり直し…。
このように、「指導(=問題解決)」 できるようになるには、
教授法の知識や生理学的な知識が必要になります。
それでも足りないときは、別のアプローチも必要になると思います。
教授法や生理学の知識がないと、見たままを言うだけの
「指摘教師」
になってしまいます。
「膝が曲がってる」
「アゴが出てる」
「肩が上がってる」
「ターンアウトができてない」
「腰が引けている」
「カマ足になっている」
「もっと引き上げて」…
あなたが通っている教室の先生は、
「指摘教師」ですか?
「指導教師」ですか?
その答えによって、あなたの上達のスピードは大幅に違ってきます。