ロシアの国立バレエ学校で指導されているクラシックバレエは
バレエ教授法に則って行われています(何を当たり前なことを、と思われたかも知れませんが日本ではそうなっていないので。。)。
バレエ教授法では、動きの複雑さをどのように学年ごとに発展させていくのでしょうか?
実は明確な基準というものがあります。
動きの組合せを学年ごとにまとめてみます。
1年生:脚が動くとき手は動かない、手が動くとき脚は動かない
2年生:脚・上体・手が同時に動く。上体を様々な方向へ向ける
3年生:2年生に上体のさらなる動きが加わる
この括りはだいぶ大まかなものですが、この基準に従うことで上達がスムーズになります。
もちろん1年生のセンターの課題でtemps liéというものがありますが、これは1年生とは思えないほど複雑な動きの組合せを要求されます。
それは、脚と手と頭が同時に動くというものです。
2年生の課題のようですが、1年生でこの動きを学んでいきます。
Temps liéは今後様々に形態を変えていくので、1年生のときから学ぶことになっています。
1年生にとっては相当難しい動きの組合せですが、丁寧に教えて仕上げていきます。
1年生の課題、脚が動くときに手は動かない、手が動くときに脚は動かない。
これは、上体をまっすぐにする能力を鍛えるために絶対に欠かすことのできない考え方です。
上体がまっすぐであれば、今後の上体の大きな動きが可能になります。
まっすぐな上体を得る前に頭や手の動かし方を学ぶと、その動きにつられて上体が揺れてしまいます。
上体が揺れてしまうと、すべての動きがバランスの悪くまとまりのない動きになってしまいます。
結果、テクニック系の動きをマスターすることが不可能になります。
1年生でまっすぐな上体を得、2年生でその上体をあらゆる方向に変化させながら手を同時に動かし、3年生で上体の動きを大きくしていく。
この動きの組合せの複雑性が上達につながります。
こういった「動きの組合せ」のことをバレエ教授法では「コーディネーション」と呼んでいます(一般的にもそう呼ばれていますね)。
そして、学年ごとの発展系はこのコーディネーション能力を鍛える観点で組み立てられています。
もちろん、コーディネーション能力以外の要素も考慮していますのでバレエ教授法の習得はそう簡単ではありません。
習得は大変だけれど、理解できたときの喜びはとても大きいですし、指導力も確実に高まります。
大人リーナでもこの発展系の順番は守らなくてはいけないことです。
ですが、巷のバレエスタジオやスポーツジムでこのコーディネーションの変化を理解してレッスンをしている教師はほとんどいないというのが現状です。
もし、教師の経験や感覚、動きを真似させるだけのようなレッスンだったら間違いありません。
筋肉や骨の名前がやたらと飛び交うようだとかなり怪しい。
そして、よく見て、出来るようになるまで繰り返してとか、生徒に甘えたレッスンをしていたら真っ黒です。笑
これでは上達は見込めません。
でも、それが日本の現状です。
自衛しましょう!
大人リーナのみなさんが教師よりもバレエ教授法に詳しくなるのが一番の近道です。
えっ、大変そう?
確かにすべてをきちんと学ぶのは大変ですが、バレエ教授法を学んでいない素人を超えるのはとても簡単です。
この先生どこまで理解しているのかな?
と冷静に観察して差し上げましょう。
間違いなく今より上達できるはずです。
次回のお悩みバスターズサロンバスターズサロンのテーマは
「大人のコーディネーション」です。
バレエレッスンにおける実践的なお話などをしていく予定です。
ぜひご参加ください。
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