
「古典バレエに対するリスペクト」
最近のこの言葉をSNSで見かけました。
日本で「バレエの新作」を目指すという内容の記事の中でです。
これに関連して、私が学んだロシアバレエ教授法の師匠の、次のような話を思い出しました。
それは、
プティパが振り付けたパを逆算して各学年で何を学ぶべきかということをシステム化したのがワガノワ先生
また、ワガノワ・バレエ・アカデミーのマリア・グリバーノワ先生は
プティパが求めるダンサーを育てるのがアカデミーの使命です。
このようにお話されました。
どちらもプティパの振り付けを伝承することに重きを置いています。
これが、クラシックバレエの伝承の形です。
アカデミーの存在、ワガノワ先生の存在が大変大きい。
さて、日本はどうでしょう?
クラシックバレエの伝承、うまく行ってるでしょうか?
伝承するためには、教育機関が必要です。
果たして、今の日本に正統なクラシックバレエの伝承を行なっている教育機関があるでしょうか?
そもそもその教育ができる教師がいるのでしょうか?
そんな日本におけるクラシックバレエって、中身は何なんでしょうね。
私個人の認識としては、それは伝承されたバレエではなく、コピーされたバレエです。
コピーは必ず劣化します。これは仕方のないこと。
それは、海外のバレエ学校でも同じかというと、そうではありません。
なぜなら、アカデミーには教授法が存在するから。
教授法を介して教育するのは、コピーするためではなく、生徒を通して伝統のバレエを再生産させるためです。
したがって、卒業生が体得したものはコピーではないのです。
「バレエの新作」に話を戻すと、
素晴らしい新作を作ることは可能だと思いますし、ぜひ挑戦していただきたい。
しかし、古典バレエと肩を並べる作品を日本で作ることはそもそも無理です。
なぜなら、日本には純粋な意味での古典バレエが存在しないからです。
並べる相手が元々いないのです。
これがアカデミーを持たない日本の現実です。
古典が伝承されてないのです。伝承されるべきプティパのパを教える教育機関がない。
だから、公序良俗に反しない限り、どんな作品でも日本では新作として発表できるでしょうし、実際発表されているはず。
言い換えると、現状では本来の古典には遠く及ばないのだから、新作を作るしかないと思います。
付属スクールを作って努力しているバレエ団も存在します。
こちらには大いに活躍していただきたいところです。
ですが、それはバレエ団内でのこと。
もっと大きく広がるためには教授法とアカデミーの存在は欠かせません。
古典バレエが日本にあるのか、ないのか。
その鍵を握っているのは、バレエ教師です。
たびたび触れますが、日本のバレエ教師で教授法を学んだことがある人はたったの15%です。
学んだと言っても、講習会に出たという程度のものも含んでの数字です。
少なくともロシアでは、大学または大学院レベルの教育が必要です。
これでは古典云々以前の問題ですね。
これほど彼我の差は大きくても、学ばない自由が日本では許されています。
日本のバレエ教師は大いにその自由を謳歌しているように思えて仕方ありません。
したがって、その差は広がることはあっても縮まることはありません。
「それでいい」とは思えないので、私は私にできることを淡々とする。
それだけです。
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