正しい形を教えているのに上達しない生徒に見られる
5つの要素の解決策。
前回は、その1 音楽性についてお話しました。
今回はその2。
プロのバレエダンサーとして活躍するために、
バレエテクニック以外で必要な5つの要素。
1. 音楽性
2. 深部感覚
3. 柔軟性
4. コーディネーション能力
5. 個性(バレエに向き合う姿勢)
今回は 2.深部感覚 について解説します。
2. 深部感覚
深部感覚とは、体のモニターのことです。
自分の手足がどこにあるか、
時々刻々監視するモニターです。
目をつぶっていても、
手足が置かれているかどうか、
感じ取ることが出来るのは、
このモニターが働いているからです。
バレエのレッスン中、
鏡を見てポジションやアライメントを直すのは、
視覚でモニターしていることになります。
それではなくて、
目をつぶっていても感じるモニターの方です。
この感覚(モニター)の鋭さ、鈍さは、
生まれ持っての個人差に加え、
その生徒が10歳前後までに行った
運動の量と質に影響されると言われています。
したがって、
個人差がとても大きくなります。
この感覚に優れている場合、
自分の手足がどこにあるのか、
精度よくわかるので、
バレエのポジションが
早く正確に習得できます。
皆んなと同じレッスンを受けているのに、
1人だけスイスイと上達してしまう生徒がいたら、
深部感覚に優れている可能性が高いです。
逆に、何度も同じ注意を受けているのに、
一向に改善の兆しが見られない場合、
この感覚が劣っている可能性が高いです。
武井壮さんは、自主トレとして
この深部感覚を鍛えるようなことをされていたと、
以前テレビで見たことがあります。
「深部感覚」という言葉は使われていなかったので、
言い切ることは避けますが、
内容的には殆ど同じことを言っていると思われました。
この深部感覚をバレエのレッスンでどう扱うかというと、
バレエのレッスンで鍛える対象ではありません。
本来、バレエのレッスンは、
技術の伝授の場であって、
それに必要な、
前提条件(深部感覚を含む)を満たす努力
をする場ではありません。
だからといって、
バレエ教師は、
前提条件を満たしていない生徒を
見捨てるべきということではありません。
むしろ逆です。
前提条件を満たしていない生徒に対しては、
純粋にバレエのレッスンをしていてはダメなのです。
深部感覚が十分でなければ、
深部感覚が鍛えられるようなことを集中的に行わないと、
上達の遅れが時間とともに開いてしまいます。
それを自主練やレッスン回数などで補おうとすると、
怪我に繋がる可能性が高くなります。
でも、残念ながら、
そういう方向に進んでしまうケースが跡を絶ちません。
その理由は単純で、
バレエのレッスンを打ち出の小槌のように、
何でもできる魔法の時間の如く扱っているからです。
いつかは、
いずれは、
と、盲目的に月日を重ね、
ある日、
このままじゃいけない、
と気がついたとき、
それまでに失われた年月の責任を
誰がとるのでしょうか?
バレエ教師は、
バレエの技術指導の専門家であっても、
深部感覚トレーニングの専門家
ではないことが多いのではないでしょうか?
それなのに、
発表会やコンクールを理由に、
あるいは、
長時間のレッスンが必要だからと、
生徒が深部感覚を鍛える機会を失うようなことをするのは、
大変罪が重いと思います。
だから、
バレエトレーナーなどの協力を仰ぎ、
レッスンとは別の時間に
集中的にトレーニングすべきです。
仮にバレエ教師に、
プロのバレエトレーナーと同等かそれ以上の
専門知識があったとしても、
深部感覚トレーニングの時間は、
レッスンとは別に設ける必要があります。
そう考えると、
バレエ教師に必要なことは、
深部感覚がどの程度機能しているか調べる目
と
バレエトレーナーとの人脈や紹介できる仕組み
となります。
その3については、次回。
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