
『ジゼル』第2幕のミルタのヴァリエーション。
2種類の踊り方があります。
動画で比較してみましょう。
まずは動画をご覧ください。
次はこちら↓↓↓
ジャンプには3種類の動かし方があります。
- つなぎなしで、その場での垂直への跳躍
- つなぎで移動して、垂直に跳躍
- つなぎで移動して、跳躍も移動
最初の動画(North Atlanta Dance Theatre)は2番目の動かし方をしています。
次の動画(The Royal Ballet)は3番目の動かし方です。
バレエの法則的にはどうなのか調べてみましょう。
「カブリオルは、低く脚を上げるものから学習する。つぎに記すカブリオルはすべて、90度の高さのカブリオルのためのものであるが、それは45度の高さのカブリオルを学ぶ際も適用される。
中略
カブリオルを前へ行うときは、上体を後ろに倒さなければならないが、…」
(『ワガノワのバレエ・レッスン』アグリッピナ・ワガノワ著 新書館 162~163pより引用)
ロシア・メソッドでは、上体を倒します。そして脚は90度の高さに上げる。
North Atlanta Dance Theatre のダンサーは、ロシア・メソッドに則った動かし方をしています。(もう少し上体を倒したほうが良いと思いますが…)
カブリオルは、ジャンプ3種類のうち、2番目の動かし方をするべきとなっています。
The Royal Ballet のダンサーは、ロシア・メソッドとは違う動かし方です。
ジャンプ3種類のうちの3番目の動かし方をしています。
垂直に跳び脚を高く上げ、上体を後ろに倒すカブリオル
と、
流れるように移動し、脚を低く抑えるカブリオル
どれも違う性格を持った動きになっています。
前者は、威厳を表現しようと大きく動いているように思います。
後者は、ウィリの流れるような軽やかさを表現しているように思います。
どちらの動きにも、表現したいテーマがあります。
そのテーマによって、動かし方にこのような差が生まれたのかも知れません。
ロシアでは、バレエ教授法の上位概念としてバレエ演技法が存在します。
演技法に照らし合わせると、ミルタは威厳を表現するのでしょう。
だから、大きく踊るカブリオルが必要なんだと思います。
ロイヤル・バレエでは流れるような軽やかさを選んだのかも知れません。
表現するテーマに違いがあると、動かし方が変わる。
振付家が何を表現しようとして、その動きを選んだのか?
それを考えると、動きの概念が見えてきます。
ちなみに難易度の観点では、ロシア・メソッドの動かし方のほうが断然難しいです。
さて、あなたはどちらのカブリオルがお好きですか?
参考図書