両脚プリエから片脚のトゥに乗り、動脚をルティレにする動きがあります。
キトリがパッせしながら脚を素早く上げ下ろしするあの動きです。
正確には、
脚を入れ替えない動きを、Sissonne simple sur la pointe
脚を入れ替える動きを、Sissonne passé sur la pointe
と呼びます。
この動き、見た目以上にとても複雑なんです。
まずは、ワガノワ・バレエ・アカデミー2年生の動きを見てみましょう。
ポール・ドゥ・ブラをしながら行う動きに着目してみます。
ポール・ドゥ・ブラを行いながら3回連続で Sissonne を行っています。
最初は脚を入れ替えずに、続いて脚を入れ替えています。
本来、ここで行うべき腕の動かし方では、
脚を機敏に2回連続で動かしても、腕は流れるように柔らかく動かさなくてはなりません。
ワガノワ・バレエ・アカデミー生でも、下肢の機敏さと腕の優雅さを同時に行うコーディネーションは難しいのです。
では続いて、上記の2年生が3年生になってからの動きを見みましょう。
ポール・ドゥ・ブラを行いながら1回で脚を入れ替える動きが加わっています。
脚は機敏に、腕は流れるように、動けるようになっています。
成長を感じます。
ロシア・メソッドで身体の使い方で大事にしている概念は、
上半身は柔らかく
脚は機敏に
です。
この概念を叩き込むのに数カ年かけて取り組むのです。
Sissonne 一つの動きを見ても
8年かけて、どのようなダンサーを育てるのか、ということが垣間見れる気がします。
教育のシステムがとてもしっかりしているから
教師もそのシステムに従って生徒を指導していきます。
このシステムこそがダンサー教育水準を高く維持できる秘訣です。