
肋骨閉めて!
と、指導されたことのある方はいらっしゃいますか?
私自身は、殆どありません。
ところが、なぜかこれ最近よく目にします。
そこで、これが本当に従うべき指導かどうか、調べてみました。
まずは、ミハイロフスキー劇場の Julia Lukianenko さんの美しい動きをご堪能ください。
肋骨、どうなっていましたか?
閉じてましたか?
どちらかと言うと、開いていますね。
ではどこから「肋骨閉じて」という指導がなされるようになったのでしょうか?
私が師事しているワガノワバレエアカデミー教師課程資格取得のロシア人の先生は、
「1年生の動かし方はロボットみたいなもの。そのロボットみたいな動かし方のままではいけません。その動かし方は1年生で終了して2年生からは新しい動かし方を学ばなくてはなりません」
と、おっしゃいます。
1年生では、上体はまっすぐ、腕・頭はほとんど動かさず決められたポジションを守ります。
それに対して2年生からは腕と頭を優雅に柔らかく使うように学びます。
この柔らかく使うためには、上体が固まっていてはうまく使えません。
上体をまっすぐにする1年生の課題では、肋骨を閉めていても脚は動きます。
2年生の腕と頭を柔らかく優雅に使う課題では、肋骨を閉めていたら課題がこなせません。
バレエは動く芸術です。
ポジションで静止している芸術ではないのです。
なので、肋骨、閉じません。
上体をまっすぐにするのが課題の、ロシアバレエメソッドの1年生では肋骨を閉じるという指示は出てきません。
どのようなラインを描くために、身体のパーツをこの位置に収めるという指示はあります。
でも肋骨に対する指示はありません。
冒頭の Julia Lukianenko さんが肋骨を閉じていたらどうなるでしょう?
あの優雅な腕と頭の動きは生まれるでしょうか?
意識を肋骨に向けるのではなく、肩甲骨に向けることをお勧めします。
肩甲骨をとにかく下に押し下げてください。
その時、腰を反らないように注意します。
腰はどんなことがあってもまっすぐ。
下腹部は上に引き上げて、
肩甲骨は下に押し下げる。
この2つを意識するだけで、上半身が安定します。
そして腕と頭を優雅に使うことが出来ます。
肩が上がってしまうと、首がうまく使えないので、頭の動きが硬くなります。
下腹部は上、肩甲骨は下
これだけで上半身美人、間違いなしです。
ぜひお試しください。
「えっ、肋骨?」
出番がなかったですね。