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ロシアバレエにある上下運動ではないドゥミ・プリエ

プリエって、下がって上がる上下の動きだと思っていませんか?

 

そう、上下運動のプリエは有名ですね。

 

実は上下運動ではないプリエがあるということをご存知でしょうか?

 

それは、水平移動のためのプリエです。

 

代表的な pas は glissade。

 

terre par terre(床すれすれ)のジャンプですね。

 

ジャンプではない glissade をセンターで学びますが、この行い方のプリエがとても難しいのです。

 

 

ロシア国立バレエアカデミーの初級では、プリエの課題が学年ごとに違います。

 

まず、1年生では上下運動のプリエを学びます。

次の2年生では横・前・後ろ、つまり水平方向へ移動していくプリエを、glissadeを通して学びます。glissadeの次はsissonne ferméで高く遠くへ、という概念を学んでいきます。

 

まず上下、次に距離、そしてそれらを足して大きく移動するということを学んでいくわけです。

 

この段階の順序はとても重要です。

 

なぜなら、水平移動を伴うプリエの行い方は、なかなか手ごわいからです。

 

 

西側でバレエを学び、西側のバレエ団で活躍なさった先生と以前お話した際に、

 

「水平移動を伴うプリエという概念は西側にはありません。移動するにしてもまず上に跳ぶようにと指導されます。ロシアメソッドのこのやり方は習ったことがないです」

 

と伺いました。

 

 

そもそもロシアでは、なぜ水平移動を伴うプリエが存在するのでしょうか?

 

それは舞台の広さと密接な関わりがあります。

 

モスクワのボリショイ・バレエの舞台は、横幅26メートル・奥行き25メートル・天井までの高さ21メートルという大きさ。

 

西側の舞台の大きさにはあまり詳しくありませんが、イギリスの昔のロイヤル・オペラ・ハウスは13メートル✕13メートルという広さです。

 

この舞台に合わせてメソッドが作られています。

 

舞台が広いということは、移動距離を多く取らないといけませんね。

 

逆に舞台が狭いと、移動は気にしなくてもよい。

 

このように舞台の広さでメソッドが決まってくるのです。

 

ロシアの舞台は大概広いです。

 

だから、水平移動を伴うプリエという概念が生まれてくるのです。

 

水平移動させるためのプリエは床に対して斜めに押さないといけません。

 

この斜めに押すというのは結構難しいです。

 

上体を先に方向に持っていかないとうまくいきません。

 

それ故に、ロシアメソッドでは上体の動きが重要になってくるのです。

 

だから、上体を徹底的に鍛えていきます。移動させるために。

 

前回のブログで脚2番でのプリエの幅について書きましたが、全て舞台の広さという部分に着目すれば解決することです。

 

ロシアでは水平移動させるプリエが重要だから2番を広くできない。

 

2番を広く取ると太ももと腰を上手に扱うことができなくなるので移動距離を大きく取ることができません。

 

西側は移動する距離がロシアに比べて少ないから、2番が広かろうが狭かろうがあまり意味を持たない。

 

こういった考察抜きに闇雲に、「今までそうしてきたから」とか「見たことがある/ない」とか表面的な理由だけで2番を捉えないほうが良いということになります。

 

私がロシアバレエ教授法を師事したスラーヴァ先生は、「バレエメソッドは力学だ。バレエ力学と言ってもよい」とおっしゃっていました。

 

そしてワガノワ・バレエ・アカデミー教授法最高責任者のマリア・グリバーノヴァ先生は、「バレエメソッドはシステムだ」とおっしゃっています。

 

ロシアバレエは力学をシステム化したものだと捉えることができます。

 

いやぁ〜、奥が深いですね。

 

ただ、こうしたシステムを理解するとすべての現象が繋がっていきます。

 

それは学びの醍醐味でもあります。

 

単にテクニックと体作りをつなぎ合わせただけのなんちゃってバレエにはない味わいです。

 

大人リーナの方には、プリエについての解説を聞くときに、それが表面的な個人的見解なのか、大本の概念からつながった解説なのか意識して聞き分けていただければと思います。

 

 


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