ピアニストからみたバレエ教師で、音が取れない教師について書きました。
読者の方からの反応もあり、やはり、音が取れない教師が存在するというのは、事実のようです。
あの記事は、私の実体験でもあります。どんな体験かというと…
私には、スポーツジムのバレエクラスを受講していた時期があります。
産後に崩れた体型を元に戻そうという目的で受講していたので、
指導内容はあまり考慮せず、軽い気持ちで受講していました。
時どき、
「この先生、ちょっと指導内容に問題あるな…」
と、思うことはありましたが、体を動かせればいいと思っていたのです。
しかし、ある日
「これはもう無理だ!」
という事件が起こったのです。
それは、
三拍子の音楽がなっているときに起こりました。
先生は、三拍子の音楽を四拍子で数えるのです。
カウントをとるのですが、小節がずれていきます。
それでもお構いなしに強引に四拍子で取って、最後はカウントが余るので、「ポーズ!」で終わらせて…。
動きにくかったです。
NYブロードウェイのオーディションでは、四拍子の踊りを違う拍子で踊らせるという課題が出る事があります。
その日、スポーツジムがNYブロードウェイに早変わりする(?)ワープ状態を経験してしまいました…。
小節の中で動きがまとまっているブロードウェイならまだしも、ずれていくという新しいカウントの取り方は、それそれはきつかったです。
その先生のレッスンは、それ以降受けることはありませんでした。
指導内容が腑に落ちないのは我慢できましたが、音が取れないのは耐え難かったのです。
ここで、前ワガノワ・バレエ・アカデミー校長のアスィルムラートワ先生のお話を。
「許せないのは…、音楽を理解しないことです。」
(『ワガノワ・バレエ・アカデミー~バレエに選ばれた子どもたちの8年間~』 DVD 新書館 より引用)
この音楽の理解は、教師に対しての発言なのか、生徒に対してなのかは、分かりません。
いずれにせよ音楽の理解がバレエ教育において最優先であることは、疑う余地がありません。
海外の国立バレエ学校では、生徒がピアノの授業を受けますし、合唱なども行い、音楽の理解を深めるようなカリキュラムになっています。
そうした生徒を指導する教師が、音楽を理解していないわけがありません。
バレエ学校には、教師が音楽を理解し、それを生徒に伝承するシステムがあるからです。
環境が音楽を理解させる。
残念ながら、日本では、
音楽を理解していなくてもバレエ教師という職業につくことができてしまいます。
それが許されてしまう環境にあるのです。
全てを環境のせいにするつもりはありませんが、音楽の理解度が低くてもバレエ教師になれるということの背景には、バレエ教育、特にバレエ教師を育成する教育環境が日本には整っていないことが大きな要因です。
この環境をどうにかしないといけません。
それなくして、日本のバレエ教育の未来はないと感じています。
日本でより良いバレエレッスンが受けられるようにするには、バレエ教師の指導力向上が必須です。
それを可能にするのが、バレエ教授法です。
バレエ教授法には、ステップの正しい知識と同様、音楽の理解もしっかりと含まれています。
とはいえ、
バレエ教授法とはそもそも何なのか、知らない方もいらっしゃるかと思います。
このブログで、今後も少しずつ紹介していきますので、参考になさってください。
参考教材
【Amazon.co.jp限定】ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 [DVD]、
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