「まっすぐに立って!」
クラシックバレエを習っていれば、誰もが一度は聞くフレーズではないでしょうか?
何を、どれに対して、まっすぐにするのでしょう?
私は「まっすぐ」という表現は、顔の向きに対してよく使います。
「上体に対して顔をまっすぐ向ける」
それ以外ではあまり使いません。
上体に対しては「垂直」をよく使います。
脚に対しては「X」をよく使います。
生徒さんに聞いてみたところ、
「まっすぐに立つ」という言葉はよく聞くそうです。
ですが、何を、どうまっすぐにするか、これらは指導されていないとのこと。
この言葉は誤解を招く恐れのある言葉です。
軸脚を垂直に立てて、上体も垂直に置く
という誤解をしている生徒さんが少なからずいらっしゃいます。
上記の考え方は力学的に相当無茶な形です。
バーを持っていれば可能でしょうが、センターではバランスは取れません。
また、軸脚を垂直にして上体を斜めに置く、というバランスの取り方もあります。
上体を斜めにすると、上体の強さが生まれませんので、動脚も上体もどちらもコントロールすることができません。
さて、ここで見ていただきたいイラストがあります。
動脚の高さによって、上体がどのように倒れていくのか。
動脚90°までは上体は垂直に保つのが理想的ではあります。(大人リーナには大変難しいのですが…)
動脚がすごく高くなると、上体は倒れていきます。
ですが、どちらの高さでも両肩は水平です。
これが大事。
両肩は常に水平。
そして軸脚に注目。
動脚90°ではXのラインです。そう、斜め。垂直ではありません。
動脚を180°近く上げると、軸脚はほぼ垂直です。
顎の真下に何があるのかも見ていただきたい。
赤いラインです。
動脚が高くなればなるほど、軸足から顎が遠のいていきます。
これらの関係性を理解しないといけません。
本来ならば、この関係性をバレエ教師が理解しているはずです。
ですが、もし理解していなかったら………
「まっすぐ立つ」
とだけ、言うことになるかもしれません。
「まっすぐ」という指導言語は大変危険なんです。
大人リーナのみなさんは、もしこの言葉をバレエ教師から聞いたら、自分なりに改訳する必要があります。(泣)
重心をどこに置くか、というのは軸脚・動脚・上体の置き方によって随分と変化します。
そして、この重心を理解していないと移動もできません。
今回のバスターズサロンのテーマは、「重心移動」
まずは重心を理解して、そして移動していきましょう。
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