
「逆カマに!」って言われていますか?
逆カマってバレエ特有の形ですよね?
普段の生活に絶対に出てこないような形…。
プロのバレリーナのアラベスクの形とか見たら、
やっぱり、逆カマになっている…。きれいなライン…。
「あの形に近づきたい」
「でも難しい」
なんでこんなにも難しんだろう?
ではここで、「カマ足と逆カマ足のお話」を少し。
大昔、人間の祖先は木に登って生活していたそうです。
木の上で自由に動くためには、足も手のように自由に枝を掴めないといけませんね。
足で木の枝を掴むには、カマ足が好都合でした。
両足で楽に枝を挟み込めるから。
だから、カマ足なんです。
それが遺伝子に組み込まれていて、私たちもそうなっていると…。
解剖学の本には、足首辺りの関節の向きが斜めになっていると書かれています。
その向きに沿って動かすと、見事にカマ足になります。
ポイント(底屈)する筋肉も、カマ足側に引く筋肉のほうが、逆カマ側に引く筋肉の3倍強いそうです。
私たちの足は、それだけカマ足にしやすくなっているわけですね。
木から落ちないように、という生物学的に理にかなった形なわけです。
つまり、カマ足は、解剖学的に見ても生物学的に見ても、正しかったんですね。
だから、レッスン中、カマ足が出てきたら
「それ、いいね!」
と言ってあげてください。
あ、これではバレエになりませんね^^;
バレエに話を戻すと、
逆カマは、その名の通り人間の本来あるべき姿から「逆行」している形…ということになります。
本来の姿の逆って、なんだか健康的じゃない感じがしてきました。
「前へのbattment tendu。(中略) 1,2で、動かす足を強く伸ばしたまま、足のうら全体を床につけて、かかとを前に押し出すように前方に滑らせ、かかとを床から離します。さらに滑らせて、足の甲とつま先を完全に伸ばしきります。つま先は床につけたまま、かかとをできるだけ高く上げます。甲が外くるぶしの方に倒れて斜めにならないように、つま先は第1、2指だけ床につけ、かかとを外に開きます。」
(『クラシック・バレエの基礎』 N. バザーロワ/V. メイ著 かるさびな出版 1992年出版 16p~17pより引用)
上文の「甲が外くるぶしの方に倒れて斜めにならないように」は、カマ足にするなということですね。
上文の「つま先は第1、2指だけ床につけ、かかとを外に開きます」は、逆カマにしなさいということですね。
逆カマにする理由は沢山ありますが、ここではそこに触れません。
守らなければならない「型」として捉えます。
逆カマにしなさいと、教科書に書かれています。
参考画像(バットマン・タンデュ前)
「解剖学的に、生物学的に、これは無茶なポジションだ!」
という声が上がってきそうですが、
そんなことは関係ありません。
というか、関係があってはいけません。
バレエの教授法でこう指示が出ているのです。
様式美では、この指示は絶対に守らなければなりません。
というか、守れる人だけが、バレエを踊っているのです。
国立のバレエ学校では、バレエの型を守れる身体を持った人が選ばれますね。
それがオーディションです。
バレエを踊れる身体をもった人たちと言うのは、本当に特殊な人たちだと思います。
逆カマをいとも簡単に出来るような人たちなのですから。
そんな特殊能力は持っていないけど、それでもプロのバレリーナになりたい!
そういう夢をお持ちの方は、身体の改造を考えたほうが良いです。
バレエの型に近づけてくれるトレーナーさんなどに身体改造をお願いするといいと思います。
型の習得は、技術の習得の延長にはありません。
まず型がありき、です。
これを満たした先に技術の習得があります。
一方で、
「カマ足かもしれないけど、バレエを楽しみたいのよ!」
もちろん、そういう楽しいバレエもありですね。
特に大人リーナには、健康的に楽しみながら踊るというアプローチの仕方が良いですよね!
プロを目指す人は、バレエの型に適った身体を手に入れる
大人リーナは楽しみながら踊る
この両者は、別物です。
これらが混在したレッスンは、相互に足を引っ張り合ってしまうので、避けたいですね。
どちらも不幸になりますから。
プロを目指すなら、バレエにおいて最優先すべきは、バレエの型です。
だから、プロを目指すなら、逆カマ必須です。
逆カマのためのエクササイズは、こちらを参照して下さい。
ここから先は、専門家のもとへ足を運びましょう。
参考資料
カマ足のなおし方〜4つの方法