
私が「解剖学的アプローチのバレエ」を推奨していた時期、
私は、これこそがバレエを志す全ての人を救う正しい道だ、と思っていました。
そこには無知の恐ろしさを知らない傲慢な私が存在していました。
現在私は、ワガノワバレエアカデミー教師課程資格取得者のロシアの先生から、バレエ教授法を学んでいます。
そこで見聞きする情報は、解剖学的アプローチがいかに薄っぺらく断片的かと感じるものばかりです。
今の先生に師事する前、解剖学的アプローチに限界を感じこれでは不十分と思っていたとき、私が目指したのは、
古いものでした。
そう、メソッドです。
RADメソッド、チェケッティメソッド、ロシアバレエメソッドを書物を通して研究しました。
この3つのメソッドの中で、一番完成されていると感じたのはロシアバレエメソッドです。
ロシアバレエメソッドの書物で手に入れられるものは日本語、英語問わず全て手に入れました。
そして片っ端から読み込みました。
そして指導に活かしていきました。
ある程度の成果は出ます。
ですが、ロシア国立バレエアカデミー生のような優雅さにはどうしても届かない。
「これはワガノワバレエアカデミー出身の先生に頼るしかない」
ということで、人伝えで今師事している先生に出会うことができました。
そこで見聞きする情報は、どうあがいても書物からは得ることのできない生きた情報でした。
バレエ教授法で最も重要視している「ニュアンスの与え方」。
これが、書物では触れられていない。
書物ではどうしてもテクニック的な部分のみの解説になります。
ですが、これはテクニックであって、バレエではありません。
クラシックバレエでは、テクニックとバレエの動きをはっきりと分けて考えます。
- テクニックは、ジャンプ・回転・ポアント(トゥシューズ)の動き
- バレエは、移動を伴うつなぎのステップ
この2つが合わさってクラシックバレエなのです。
ですが、書籍だとどうしてもテクニックに偏ってしまう。
「つなぎのステップ」のバレエたらしめる動きはニュアンスを伴って、生で見ないといけません。
そしてこのニュアンスこそが、優雅さを生む秘密兵器なのです。
テクニックを行う際、身体条件によってその完成度は大きく左右されます。
最近ネットでよく目にする「これをすればこうなる」という情報は、
テクニックに寄り添ったものです。
バレエの部分が抜け落ちています。
バレエが上手か否かは、テクニック的な部分ではなく、バレエの部分(つなぎのステップ)で評価します。
そして正に大人リーナが目指すところはここにあると言えます。
テクニックではなく、バレエ(つなぎのステップ)。
あなたはバレエを踊りたいのですか?
それとも
テクニックを極めたいのですか?
この2つを一緒に高めていければいいのですが、身体条件が伴わないテクニック強化には無理があります。
そもそもクラシックバレエでのテクニックは身体的に相当特殊な条件を満たした人のためのものです。
バレエ学校の厳しいオーディションに合格できる身体の持ち主でない限りそもそも無理なのです。
無理だから入り口で落としてあげているとも言えます。
その生徒の人生を無駄にさせないために、ですね。
でも、大人からバレエを始めた生徒さんは、きっとそこまで本格的に学びたいわけではない。
楽しくバレエの雰囲気を味わいたい。
そうなると、テクニックよりも「つなぎのステップ」の方が重要になってきます。
そして、「つなぎのステップ」はそれ程身体への負担なく習得可能です。
ところが、これは本から学ぶことができません。
バレエのテクニックと解剖学を元にバレエを解説する情報がネット上には沢山あります。
その手の情報は出しやすいからたくさん出ているのであって、それだけでは不十分です(「つなぎのステップ」がないので)。
そもそも、大人の生徒さんにとっての優先順位は思いのほか低いのです。
大人の生徒さんがバレエらしく踊れるようになるために必要な情報は「つなぎのステップ」です。
そして、それを提供してくれるのはバレエ教授法を修めた教師、となります。
大人リーナはぜひこの部分を理解して、バレエ上達を目指してほしいと思います。
参考教材 解剖学、生理学、脳科学などの側面からバレエの上達に役立つノウハウをまとめた教材です。ここにバレエ教授法が加わると最強かも知れません(^^)