複数のロシア人バレエ教師にバレエを習った方なら少しは感じているかもしれない違和感。
「みなさん違うことを言っている……」
その違和感の正体は一体何なのでしょうか?
アグリッピナ・ワガノワ先生が築かれたメソッドの土台と骨組みについてお話しました。
そして、装飾の部分は各教師への課題でもあるということにも触れました。
その装飾の部分は、
例えば、
「私はストライプ模様の壁紙にしたい」
「いや、私は花柄の壁紙にしたい」
「いやいや、私はモノトーンの壁紙にしたい」
となるでしょうか。
壁紙に差があっても、骨組みに変化はありませんね。
壁にも変化がありません。
このようにロシア・バレエ・メソッドのディプロマを持っている教師は、各々自分の考え方をメソッドに反映します。
かくいう私もメソッドを理解した上で、あえてこの動かし方、という指導をすることがあります。
ですが、骨組みは一切変えません。
土台と骨組みの理解があるからこそ、変化をもたらすことができます。
さて、土台と骨組みを理解していないと、この変化をどう捉えるでしょうか?
「壁の色も模様も違う。見た目にぜんぜん違うからみんな違くて良いんだ。」
となります。
これをロシア・バレエ・メソッドに当てはめるとこうです。
「ロシア・バレエ・メソッドの先生たちはみなさん、違うことを言っている。だからどれが正しいとかはないんだ。自分のオリジナルな教え方でいいんだ!」
とんだ勘違いですね。
そして、良かれと思って装飾だけの(土台と骨組みのない)創作ダンスをさも「これが正しい」と指導するし、インターネット上で情報発信します。
ところが、土台と骨組みは、その中身を学んだ者だけが理解できることです。
傍から見ただけで分かったような気になられては困ります。
教授法の理解は簡単ではありません。
ところが、ネット上にはこの勘違いに気づかずに発信しているバレエ教師が少なからず存在します。
さらに、それをありがたく学んでしまうバレエ教師もそれ以上にいます。
こうなるとそういった方々を「バレエ教師」と呼んで良いものか非常に疑わしいですが、誰でも「バレエ教師」になれる日本では取り締まられることはないのでしょう。
そんな状況ですので、バレエを学ぶみなさんは、発信している教師のバックグラウンドをチェックする必要があります。
ダンサーとしての実績に目を奪われないでください。
ダンサーじゃなくても「●●の専門家」という肩書に目を奪われないでください。
バレエ教授法を学んでいなければ、バレエ教師としては素人ですから。
土台と骨組みがないと、家は倒れます。
欠陥住宅です。
外観が素晴らしい欠陥住宅に住みたいですか?
肩書に目を奪われて、バレエ教師を選ぶとそうなる可能性大です。
バレエ教授法を学ばずバレエ教師になり、勘違いバレエ教師からバレエと称する創作ダンスをありがたく学んでしまう人々。
そんな、土台がなく、装飾しかないバレエ教師からバレエが学べるでしょうか?
学べるわけ無いですね。
だから、バレエ教授法を知っているバレエ教師にぜひバレエを習っていただきたいと切に思います。
そのためには生徒のみなさんの自衛が必要です。
見た目だけで家を選ぶと最初は良くても欠陥だらけで痛い目に遭います。
そして、欠陥住宅はいつか倒壊します。
そうならないために何をしたらよいか?
一つの答えは、生徒さん自身がバレエ教授法に詳しくなることです。
正しい知識が増えると間違いが見えてきます。
いい加減な指導かどうかが見えてきます。
それは先生の情熱や善意とは別物です。
一生懸命教えてくれているという感情に流されると最終的に痛い目にあうのは大人の生徒さんです。
勘違いバレエ教師は肥えて、大人の生徒さんには怪我をするか上達しないという未来が待っています。
その時が来てから後悔する人がひとりでも減ることを願ってこのブログを書いています。
これからも。
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